世界94カ国を旅していた頃に出会った人や現地の様子などを綴っていただいている旅作家・歩りえこさんのFRaUweb連載「世界94カ国で出会った男たち」。今回は、先日起きた京王線車内の事件にふれ、オランダで出会ったノルウェー人男性について綴っていただきました。予期せぬ事件や事故を防ぐにはどのようなことが必要なのか。また、起きてしまったらどのような対処が必要なのか。改めて考えさせられるエピソードです。

京王線の事件で胸を打たれた勇気ある行動

最近、やたらと日本が物騒だ。先月31日夜、東京・調布市を走行中の京王線の車内で、男が刃物で男性を刺し、液体をまいたうえで、放火するという凄惨な事件が起きた。

ニュースが流れてきてすぐに、車両に乗っていた乗客がTwitterにアップした事件動画を見た。多くの利用客がパニック状態で前方へと走る姿、そして爆発音が鳴って火災が発生すると同時に猛スピードで前方へと走ってくるサラリーマン風男性に目が釘付けになってしまった。

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他の乗客の目撃情報によると、この男性はナイフを持った犯人が前方車両に来られないように、また火災が広がらないように連結車両のドアを押さえていたようだ。火災が起きたことで、最後に逃げる乗客を見送ってから慌てて前方へと走った様子だが、この男性がドアを押さえていなかったら犯人は逃げ惑う乗客を次々と刺していたかもしれないし、火災がもっと前方にまで広がっていた可能性もある。

無抵抗な他人を傷つける人間がいる一方で、赤の他人を助けるために自分自身の危険を顧みずに懸命に闘う人間もいる。この勇気ある男性の行動を見て、オランダで出会ったノルウェー人男性のことを思い出した

エコ先進国であるオランダの人力タクシーは短距離移動に便利。写真提供/歩りえこ
警察官もエコのため自転車に乗る。写真提供/歩りえこ