週末、教会でチョコパイをもらうのが楽しみ

「空軍に入りたい」とか「運転兵になりたい」など、入隊前に希望を出すこともできます。ただし希望したからといって実際に入れるとは限りません。年齢や人数などの枠が決まっていますし、何よりその部署に適した能力がなければ落とされてしまうからです。また「釜山に行きたい」「江原道に行きたい」など、配属地の希望は出せません。

また、兵役中は社会から隔絶された閉鎖的な世界で過ごすことになるため、なかには心の病にかかる人もいます。『D.P. -脱走兵追跡官-』で描かれているような体罰やいじめもあり、それこそ追い詰められたら脱走や自殺という事態にもなりかねない。ですから軍隊側も、メンタルを安定させるための対策をいろいろと考えています。

その一例が週末の宗教活動です。兵役中は、キリスト教でも仏教でも何でもいいので、何か1つ信仰を持って心の支えにするよう言われます。兵役中に教会やお寺に行くと、お菓子がもらえたり、女性の応援軍団が来て励ましてくれたりするので、それが楽しみだというのもありますね。朝はお寺に行って、夜は教会でアーメンと言いながらチョコパイをもらうツワモノもいましたよ(笑)。

日本でもお馴染みのチョコパイ。韓国では、オリオン社の「情」のチョコパイがお馴染み。photo/Getty Images

もうひとつは面会。昔は先輩の目を気にして控えめにすることが多かったのですが、今は結構自由にやっていると聞きます。私が入隊していたときには、彼女がしょっちゅう面会に来る奴がいて、差し入れにチキンをたくさん持ってきてくれたり、友達の女の子を連れてきてくれたりするので、仲間の私たちも大いに癒された記憶があります(笑)。

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一番の楽しみは、入隊100日目の慰労休暇

なかでも一番の楽しみは、入隊して100日たつともらえる4泊5日の慰労休暇。これはすぐに使わず、120日目とか180日目とか、後にずらして使うのが一般的でした。つらい任務をこなすために、「休む権利」を、少しでも長く保持しておきたいからです。やっぱり人間、「希望」が大事ですからね。二等兵以上になると、夕方5時以降に電話をすることもできます。

みんな休みを心待ちに、それだけを生きがいに過ごすという。2019年4月には携帯もある程度ル―ルの上で使用できるようになった。photo/Getty Images

一等兵や兵長など、階級が上がるともっと休暇の日数が増えて、9泊10日もらえます。ただしそこまで長く休むと6日めで軍人だということを忘れ、8日目には戻るのが憂鬱になるとか。まるで再入隊するような気分になるのだそうです。

休暇中は毎日、所属先に自分の居場所を報告しなくてはなりません。逆に、軍隊から確認の電話がかかってくる場合もあります。彼女とデートをしたりお酒を飲んだりするのはOKですが、風俗に行ったりギャンブルをしたりするのはNG。他に政治活動、海外旅行なども禁止されています。軍服で遊びに行くと怒られるので、必ず私服に着替えてから出かけます

休暇以外に外出や外泊というシステムもあって、それは2年間で10日ほどもらえます。1回につき、外出だと丸1日、外泊だと1泊。異動できるのは所属している軍隊の地域内だけに限定されていますが、こっそり家に帰ったり、ソウルに遊びに行ったりする人も結構います。