2021.11.16
# 日本 # 戦争

「満州某重大事件 張作霖を爆殺した関東軍のどす黒い目的」

関口宏、保阪正康のもう一度! 近現代史(1)
関口 宏, 保阪 正康 プロフィール

これが漏れると国際的に日本軍の威信に傷がつく

保阪 張作霖爆破事件を調べる秘密委員会の資料を読むと、はじめはどうも南軍の便衣隊がやったようだという報告なんですが、外務省がそれを否定して、軍部が関与していることは様々な情報で確認されていると言うんです。軍部はしぶしぶそれを認めるんですが、「これが漏れると国際的に日本軍の威信に傷がつく」と主張するようになるんです。

この事件についてはコミンテルンなどによる謀略説もありましたが、日本政府の委員会ではっきりこのようなやり取りが記録されているので、疑う余地はないんです。

大阪朝日新聞(昭和3年6月5日付)

関口 そして、蔣介石が北京に入ります。無血入城ですね。一方張作霖の軍隊は、息子の張学良が引き継ぐことになりました。

保阪 関東軍の軍人たちは張学良を取り込もうと工作しますが、張学良は自分の父親が日本軍に殺されたことを知っていますから。満州全域に国民党の青天白日旗を掲げるかどうかが注目されていましたが、張学良はためらうことなく掲げるんです。日本ではなく、国民党の側にいるという意思表示でした。

 

関口 田中義一首相も事件後、はじめから関東軍の仕業ということはわかっていたんでしょうね。

保阪 中国に駐在している外交官が本省に電報を打ち、関東軍によるものであることはどうも間違いないと情報を入れています

関口 一方中国側の調査で、現場には日本側が敷設した爆弾の導線の跡が残されていた。爆弾自体も、蔣介石軍の便衣隊では到底扱えないほどの量だったことから、関東軍によるものと推察されたんですね。

こうした事実が次々に明らかになり、事件の2ヵ月後には、海外メディアも関東軍によるものである可能性が濃厚と報じるようになります。

保阪 犯人役に仕立てる経緯もひどいもので、阿片中毒の人間を3人連れてきて、数日の間ご馳走するんです。しかし、そのうちの一人が、なぜ日本軍が我々をこんなに歓待するのか、おかしいと気づいて脱走し、国民党の側に行って告発するんです。残った二人は事件現場に連れて行かれ、そこで日本の軍人に刺殺された。いかにも爆破犯のように仕立てて、殺してしまうんです。はじめから犯人に仕立て上げようと考えた、どす黒い計画です。

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