家での徘徊対策、うまくいっていたはずが…

突発的なトラブルはその後もいくつか起きたが、命に関わる事件は起きず、2020年を迎えた。

2020年は、2月初旬から新型コロナウイルスの国内での感染が確認されるようになり、老人介護施設も厳重な警戒態勢に入った。デイサービス等を中止するわけにはいかないので、当時世間で行われていたよりも厳しく、手指消毒、マスクの着用などがチェックされるようになった。義母の様子は、それまでと特に変わったようには見えなかったが、もしかすると、彼女なりにストレスを感じていたのかもしれない。

コロナでは誰もがストレスを感じていた。コミュニケーションが必要な介護の世界で、介護する側もされる側も、相当の変化が課せられていた Photo by iStock
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前回書いたように、我が家では義母が夜中に家から出ないよう、部屋や廊下に障害物を置き、玄関ドアの取っ手に「今は夜!」と書いた貼り紙を何枚もつけ、スズランテープで取っ手を縛っていた。部屋に閉じ込めることは虐待と見なされるので、1階は動き回れるようにしてあった。我が家にはもともと、各部屋に鍵がついておらず、義母を閉じ込めるようなことはできなかったのだが、施設の介護士やケアマネジャーには、何度も「閉じ込めないように」と確認された。

私が1階に降り、義母の隣で寝ようとしたことがあったが、夜中にしょっちゅう動き回るので寝不足になり、早々にギブアップ。異常な音がしたときだけ、私が起きて見に行くことにした。

このまま何事も起きずに過ごせるかと思った矢先、やはり問題は起きてしまった。ここから事態は大きく変化する。

【次回は11月22日(火)公開予定です】

上松容子さん連載「謎義母と私」今までの連載はこちら