デジタルアートや投稿に破格の値がつく話題の「NFT」とはなにか?

次世代ネット技術の可能性と限界

『パルプ・フィクション』の未公開カットを販売

アートやコンテンツの世界でいま、「NFT」が注目を集めている。

各種のデジタルコンテンツが、何百万円や何千万円どころか、数十億円といった高額で取り引きされる基盤技術として使われているのだ。

「NFT」が大きな話題をよんだのは、2021年3月のことだった。「Twitter」社の共同創設者として知られるジャック・ドーシー氏による初めてのツイートが、NFTを通じて約291万ドル、日本円にしておよそ3億1500万円もの価格で販売されたのだ。

11月初旬には、クエンティン・タランティーノ監督の初期の傑作『パルプ・フィクション』の未公開カットがNFTで販売されることが発表され、耳目を集めたばかりだ。

【写真】クエンティン・タランティーノ監督NFTのトークイベントで登壇したクエンティン・タランティーノ監督 photo by gettyimages

主としてアートの世界で収益を得る新たな手段として注目されるNFTとは、いったいどのようなものなのか。可能性と危険性の両方をはらむこの技術について、深掘りしてみよう。

技術基盤は「仮想通貨」と同じ

NFTとは、「Non Fungible Token」の略だ。「交換不可能な価値をもつトークン」という意味であり、「非代替性トークン」とよばれることもある。

同じ技術基盤を使って、すでに世の中で広く使われているのが「仮想通貨(暗号資産)」である。仮想通貨は、デジタルデータに「ブロックチェーン」技術を用いて唯一の価値を担保し、あたかも「国家=中央銀行以外が独自に発行した通貨」のように取引されているものだ。

ブロックチェーンとは、簡単にいえば「取引の内容を履歴として残し、改竄(かいざん)から守る技術」のことだ。特に、現在使われているのは「分散型台帳」ともよばれるもので、ネットワークの参加者全体で取引履歴の正しさを担保するしくみになっている。

どこか特定の組織が中央集権的に管理するものではないことが、重要な特徴の1つだ。仮想通貨の場合には、国家(中央銀行)が集中管理するわけでない、ということになる。

技術基盤としては、NFTも仮想通貨同様にブロックチェーンを用いている。その狙いは、当該のデジタルデータが「唯一のものである」ことを担保する点にある。

だが、NFTと仮想通貨とでは、扱う対象が異なっている。

……わかりづらいだろうか? 確かにそのとおりなのだ。

どこがどう違うのかを理解するには、「デジタルデータは唯一性の担保が難しい」という前提が重要になる。

通常の貨幣は「それが勝手に複製されたものではない」という唯一性を、国家(中央銀行)が担保しているからこそ価値をもつ。現在は現金のみならず、銀行などを通じてネットワーク上で貨幣価値そのものがやりとりされることが多くなっているが、国家(中央銀行)が発行している貨幣を安心して使用できる背景には、さまざまなしくみを通じて「取引の履歴が守られている」ことがある。

一方の仮想通貨は、国家=中央銀行が発行したものではない。したがって仮想通貨は、通常の貨幣とは別のしくみ、すなわち「ブロックチェーン」技術を用いることで、「AからBへ、価値の取引がおこなわれた」という取引履歴をオープンなかたちで担保する。

【写真】仮想通貨と同じ技術基盤「ブロックチェーン」技術を用いることで、取引履歴をオープンなかたちで担保する photo by gettyimages

結果として、「あなたがもっている仮想通貨は唯一のものです」ということになり、価値をもって取引に使えることになる。

では、NFTはどうか。

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