コロナ対策の1年9ヵ月…ゴールポストが無限に動く「無理ゲー」を日本人はいつまで続けるのか

中川 淳一郎 プロフィール

そもそも「重症化リスク」は極めて低い

7月8日、テレビ朝日『モーニングショー』コメンテーターの玉川徹氏は、大谷翔平が松井秀喜氏の日本人最多記録を超える32号HRを放つ様子を見て「観客がマスクをしていない。これがワクチンを打った国と打っていない国の違い」と言った。

ただ、この段階ではアメリカの陽性者は日本よりも圧倒的に多かった。人口が2.6倍のアメリカが6万6832人で、日本は2193人だ。そして今や日本の方がアメリカよりもワクチン接種率は高い。ワクチン関係ないじゃないですか? マインドの問題でしょ?

そんな同氏は、マスクを外したイギリスが10月に入り1日の陽性者数が約5万人になったことを受け、「やっぱりマスクの効果が高いっていうのは科学的に証明されている話で。やっぱりマスクを続けるっていうことを日本人はやめてないという点が非常に日本人の素晴らしいところ」と述べた。

大谷の時と言ってることが全く違う。ワクチンを打ったからアメリカはマスクを外せた、と言ったかと思えば、ワクチン接種率が高くとも陽性者が増えたイギリスは「マスクをしていないから」と言う。我々は終始、専門家とテレビコメンテーターのその場しのぎの発言によって右往左往させられたのだ。

そして、10月に入り、厚労省は接触感染・飛沫感染に続きエアロゾル感染(≒空気感染)を認めた。ならばマスクもアクリル板も意味がないではないか。

Gettyimages

10月21日、時事通信は「ファイザー製ワクチン、追加接種で有効性95.6% 新型コロナ」という記事を出した。タイトルだけ見ると3回目を打てば95.6%が陽性者にならず、発症もしないし、重症化も死ぬことないんだね! といったイメージを抱くことだろう。

だが、ワクチンは元々「2回打てば発症と重症化を抑えられる」「任意である」「医療従事者と高齢者を守るため、彼らから先に打つ」という設定だった。それなのにいつのまにか「感染しない」が加わり、あろうことか「周囲を守るための利他的行為。人は一人で生きているわけではないから打たなくてはいけない」「若者もつべこべ言わず打て。1万円分の食事券をプレゼントするよ(愛知県)、車や旅行券もあげるよ(群馬県)」ということに変化していった。

本題に入る前にこの「95.6%」の意味を考えてみよう。記事にはこうある。

〈 治験は、ファイザー製ワクチンの2回接種を終えた16歳以上の1万人余りを対象に実施した。3回目を接種した場合は、発症が5件だったのに対し、偽薬を投与したグループでは109件の発症例があった 〉

「1万人余り」の原文を海外のニュースサイトで見ると「more than 10000」とあるので実際の数値は分からない。ここでは「1万」ピッタリでこの「95.6%」の実態について考えてみる。

◆3回目の接種をした人の発症割合:0.05%
◆偽薬を接種した人の発症割合:1.09%
◆人数比でいえば、偽薬を打った人は3回目を打った人の21.8倍。よって効果はあるだろう
◆「95.6%」の意味は、「3回目の接種のお陰で発症しなかった人(109-5=104)」÷「偽薬を投与し発症した人(109)」=95.4%ということである。(「1万人余り」の人数から算出した「95.6%」とは誤差がある)
◆すげー効果だ!と思うかもしれないがそもそも何もしなくても98.91%の人は発症さえしない

こういうことなのである。ワクチンを打つことにより、1.04%発症を抑えることができる、ということだ。しかし、発症したとしても若者はほぼ重症化しない。ましてや死なない。それなのにワクチンの「副反応」で高熱が出たり仕事を休んだりする人が続出した。

コロナにかかってもいないのに、ワクチンで熱が出るというよく分からない状況になるが、打った人は自己正当化したいのか「副反応が出たということはワクチンが効いている証拠」と言い出す始末だ。

 

「コロナ禍検証プロジェクト」の公式note(9月19日の記事)には、こうある。

〈 デルタ株が広がった第5波で若年感染者は大幅に増えたものの、重症化リスクはほとんど変わらず、極めて低い水準であることが、大阪府の年代別重症例の集計結果(9月24日判明分まで)でわかった。10代以下の陽性者は2万1403人で、重症化例は4人(死者1人)、重症化率は0.019%。20代の陽性者は2万5827人で、重症化例は21人(死者なし)、重症化率は0.081%となっている 〉

テレビの「95.6%に効果!」だけを見ると「夢のワクチンだ! これで私の命は守られる!」と思うかもしれないが、実態はこの程度のものである。

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