東大病院のコロナ重症病床は8床!大学病院に求められる役割を考える

役割分担の曖昧な国と地方の狭間で

医療スタッフや設備などの医療資源が集約化されており、診療報酬も大変優遇されている大学病院。本来は、自分たちが持つ能力を総動員して、なるべく多くのコロナ患者を引き受けるべき存在であった。しかし実際には、約2割の大学病院がコロナ患者数ゼロとなっており、また、受け入れている入院患者数も、 10人未満となっている病院の割合が約7割に上る。さらに、厚生労働省が管轄する国立病院(国立病院機構、NHO)や旧社保庁系病院(地域医療機能推進機構、JCHO)にも同様の状況が見られる。なぜこれらの大病院で積極的な病床確保がなされなかったのだろうか。コロナ禍における医療逼迫の原因に迫った現代新書の最新刊『医療崩壊 真犯人は誰だ』より、大病院が抱える諸問題に切り込んだ第5章を抜粋してお届けする。

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東大病院のコロナ重症病床は8床

大学病院は、そのほとんどが、医療スタッフや設備、病床数が非常に充実している「特定機能病院」に指定されており、診療報酬も大変優遇されています。

ところが、2021年7月28日現在で厚生労働省に報告のあった81の大学病院のうち、16病院が入院患者数ゼロ、入院患者数が1人から4人の病院が27もある状況です。重症者についても、 36病院が患者数ゼロ、1人から4人の病院が36ということですから、その社会的使命をきちんと果たしているのか、大いに疑問と言わざるをえません。

もう少し詳しく見てゆきましょう。

実は、日本経済新聞社が第3波の最中に、各国立大学病院にアンケート調査を行い、各病院が確保しているコロナ患者用の重症病床数を公表しました。図表5-6がそのリストですが、各大学とも確保病床数が非常に少ないことがわかります。

特に、感染拡大の中心地にあり、病床数が1226床もある東京大学医学部附属病院で、わずか8床のコロナ重症者病床しか確保されていなかったという事実は、衝撃的ですらあります。ちなみに、東京大学医学部附属病院の軽症者・中等症用のコロナ病床も、この時点でわずか30床に過ぎません。

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