国民の血税を食い物にする「幽霊病床」はなぜ生まれたのか?

日本のコロナ対策の本質的問題
鈴木 亘 プロフィール

2021年4月からは、全ての医療機関に対する特例加算として、感染予防策を行っていることを条件に、初診・再診料50円、入院1日100円、調剤1回40円、訪問看護1回50 円(小児科の場合には医科1000円、歯科550円、調剤120円を加算)の診療報酬引き上げが行われています。

コロナ患者を全く引き受けていない病院や開業医たち、歯医者などのコロナ治療と関連が薄い診療科も対象となっています。まさにどさくさに紛れた大盤振る舞いで、コロナ対策として意味があるのか、大いに疑問です(初再診に上乗せする診療報酬は9月末で打ち切り、小児科は半減することになりました)。

 

十分活用されていない交付金

また、政府の「緊急包括支援交付金」として、病床確保料や医療従事者の人員確保・処遇改善等に、4.6兆円もの予算が用意されました。病床確保料とは、新型コロナウイルス感染症患者専用の病棟や病床がある医療機関(重点医療機関)に、普段からコロナ病床を空けておいてもらうために(空床を用意するために)、1床あたり1日最大 43.6万円を交付する仕組みです。

また、「さらなる病床確保のための緊急支援」として、重症者用病床1床につき最大1950万円、重症以外でも最大900万円を補助する仕組みも作られています。しかしながら、病床確保料として用意された措置額(1兆2935億円)に対して執行額は8095億円(2021年3月末まで)、緊急支援の措置額(2693億円)に対して執行額は1588億円(同3月21日まで)と、十分に活用されているとは言い難い状況です。 また、緊急包括支援交付金は本来、一時的なコロナ専用病院(いわゆる「野戦病院」)の臨時設置にも柔軟に活用できる予算です。野戦病院と言えば、中国・武漢市で1000床規模の一時的コロナ専用病院が約10日で建設され、コロナ患者の治療に大活躍したことが我々の記憶に新しいところです。

急ピッチで建設された武漢の野戦病院。その完成間近の様子(Photo by gettyimages)

それに倣って、イギリスではナイチンゲール病院と呼ばれる一時的コロナ専用病院が7つ作られたり、アメリカでもニューヨーク州内に野営病院の他、臨時病院も6つ開設されるなど、いろいろな国で活用事例があります。

しかしながら、我が国ではその必要性が長く指摘されてきたのに、これまでなぜか作られてきませんでした。第5波になってようやく、大阪府が1000床規模の「野戦病院」を整備する方針を示しています。どうせ予算の大盤振る舞いをするのであれば、このようにきちんとした使い方をして欲しいものです。

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