これからは、家族を私が守る!

学校はお弁当だったので、毎朝自分で好きなおかずだけ詰めて持参。両親ともに働いていたため、できることは子どもたちでやろうと決めていたのです。私は冷凍食品のコーンクリームコロッケが大好きだったので、それだけ詰めて持っていってました。両親には見せていません(笑)。

友達には、家庭の事情について特に話していません。なので我が家の生活レベルが変わったことに、周囲は気づいていなかったと思います。とはいえ、やっぱり私のお弁当がコロッケしか入ってなかったからでしょうか。なかにはお腹がいっぱいなフリをして、卵焼きを分けてくれる友達もいました。その優しくて美味しい卵焼きは私にとって史上最高の卵焼きで、死ぬまでにもう一度食べたいほどです。

友達がくれた卵焼きは、その優しさもあって史上最高に美味しかった(写真はイメージです) Photo by iStock
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父から事業の倒産を告げられた時、真っ先に私の頭に浮かんだのは、「これからは家族を私が守る!」という強い思いでした。長女ゆえの責任感でというわけでもなく、突然スイッチが入ったようにそう感じたのです。「お父さんが隠しながらも辛そうな顔をしているのを見るのは初めて……」という驚きが、そうさせたのかもしれません。きっと弟や妹も、同じことを考えていたのではないでしょうか。

私は15歳の時にこの世界に入りましたが、根底にあったのは「家族にお腹いっぱいご飯を食べてもらいたい」「ひもじい思いをさせたくない」という思いでした。仕事をするうえでの一番の動機が「食」だったのです。なので東京に出てきてご飯屋さんに連れて行ってもらうたびに、「家族のみんなに食べてほしいな。いつか連れて来たい」と思っていました。

今はお陰様で食べたいものを好きなだけ食べられるようになりましたが、どんな美味しい料理よりも思い出すのは家族と笑い合って食べる食卓。”何を食べるか”より”誰と食べるか”。このSNS時代、ついつい食事の写真だけ撮っちゃいがちですが、目の前にいる「その人」を思い出におさめていきたいです。

高橋家ご両親を囲んでの家族写真。まさに苦楽を共に過ごしてきた同士のようだ 写真提供/高橋メアリージュン

構成・文/上田恵子