戦後最大級!沖縄・奄美に大量の軽石をもたらした「大噴火」の正体

同クラスの噴火が陸上で起こったら…?

「戦後最大級」の火山噴火

小笠原諸島の海底火山「福徳岡ノ場(ふくとくおかのば)」の噴火で生まれた軽石が、沖縄・奄美地方の沿岸に大量に押し寄せて問題になっている。海沿いをびっしりと覆う軽石は港湾の機能を麻痺させ、漁業者が出漁を見合わせる事態も相次いだ。

美しい景観が軽石に埋め尽くされたビーチもあり、観光業にも大きな影響を及ぼしている。

今回の噴火は国内では「戦後最大級」とされ、噴煙の高さは16~19キロメートル、まき散らされた噴出物は1億~5億立方メートルと推定されている。そして、今から1900年以上前にイタリアの古代都市「ポンペイ」を壊滅させたのと同じタイプの噴火だという。この大噴火の実態とは、いったいどのようなものだったのか。

1400キロの海原を超えて軽石が襲来

今回の噴火が起きたのは、8月13日から15日にかけてのことだ。それから約2ヵ月後の10月中旬になって、奄美大島や沖縄本島で相次いで軽石の漂着が確認された。小笠原の海底火山から放出された大量の軽石が海流に乗って運ばれ、1400キロメートルほども離れた海岸や港に到達したのだ。

軽石が浮く海域で無理に船を動かせば、エンジンの冷却装置の配管が詰まるおそれがあり、漁業者たちは出漁の中止を余儀なくされた。鹿児島県の与論島では10月下旬、発電に必要な重油をタンカーで補給できなくなる事態も発生している。沖縄本島北部の国頭村では、漁港内のいけすで養殖していた魚が死ぬ被害が報告された。

【写真】沖縄県・古宇利島に漂着した軽石沖縄県の古宇利(こうり)島に漂着した軽石。手前は、大きさの比較のために置かれた100円玉硬貨(沖縄科学技術大学院大学の森田洋平さん撮影)

日本に存在する「活火山」は111個

富士山や阿蘇山、桜島といった有名な火山に比べ、あまり耳馴染みのない「福徳岡ノ場」だが、日本国内に111ヵ所存在する、れっきとした「活火山」の一つだ。

海洋プレートが深く沈む「沈み込み帯」で生じたマグマが噴出し、これまでにも何度も噴火を繰り返してきた。

約10年前の測量調査では、水深30~40メートル程度の平たい山頂をもつ海山として記録されており、最も浅い場所は水深25メートルほどだった。

8月の噴火では新島が形成された。過去には1904年、1914年、1986年にも新島が生まれ、そのたびに波に削られて姿を消している。

前述のとおり、今回の噴火では噴煙の高さが16~19キロメートルに達したとされ、産業技術総合研究所(産総研)地質調査総合センターの及川輝樹・主任研究員らの試算では、軽石や火山灰などの噴出物の総量は1億立方メートル(東京ドームにして約80杯分)以上に及ぶ。最大で5億立方メートル(同約400杯分)に達したとみられるという。

【写真・地図】福徳岡ノ場の噴煙と位置上:高度約6000メートルから撮影された福徳岡ノ場の噴煙(2021年8月13日、海上保安庁HPより) 下:福徳岡ノ場の位置(国土地理院「地理院地図」より作成)

日本国内の火山噴火としては「戦後最大級の規模」であり、大正時代の1914年に発生した鹿児島県・桜島の「大正大噴火」に次ぐレベルとみられる。

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