検査をしようと思ったきっかけ

検査前に自分としてはこんな風に考えていました。「たぶん肺活量は落ちているだろうな」と。ALSに罹患してから、自分なりに「呼吸」「発声」に関してのリハビリや自主トレーニングをしてきました。特に仰向けに寝転がった状態での呼吸ストレッチや脱力ストレッチ、鼻呼吸主体の呼吸コントロールなど、「動けない状態で出来る負荷のかけ方」を意識した実践を毎日続けてきました。

そのおかげだと思うのですが、喋るという声帯を震わせる運動に関しては、今でも変わらないと言われていますし、自分も維持しているのではないかと思うのです。では何が落ちたかと言うと「呼吸運動を続ける体力」なのです。単純に体力が落ちたという事だとは思うのですが、役者としては悔しい現実になります。

つまりこういう事です。私はこの1年半走るどころか歩いていないのです、当然ながら運動も、トレーニングどころかなぁ~んにもしていないのです。ところがALS罹患前の私は1日1万歩をクリアするように歩き、ほとんどの階段を利用し、若者たちと柔軟体操やストレッチを表現という講義でやってきました。かなりの運動をしてきた人間が、意に反していきなりやめた感じですし、筋肉が減ることで運動が出来なくなったとも言えます。

講師仲間の河本浩之さんと生徒さんからの「元気玉エール」をもらいました 写真提供/津久井教生
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例えるならば、結構強い部活に入っていて3年生で引退して、その後何も運動をしないままに1年が過ぎて、母校の夏合宿に参加してOB戦に出場した時の感覚です。「わぁー、体力落ちている」です(笑)。体が動かないのも、翌日かそれ以降に強烈な筋肉痛が来るのもそうですが、当日に「息が続かない」と感じる人が多いと聞きます。まさにその感覚です、何年も部活動で培ってきた運動体力が1年で、下手をすると半年もかからずに、何もしないと落ちてしまうのです。

結構頑張ってトレーニングを続けてきたつもりですが、声を出す機能の維持は出来ている反面、運動不足と手の機能低下での発声の体力の衰えを感じます。「共鳴」という、声帯を開放して行う表現があります。この表現の時もこれまでは楽に乗り切れていたのですが、以前と比べて「ちょっと甘いな」と感じるようになったのです。

これは明らかに「肺活量」がALS罹患前から減っているのではないかと思う事態なのでした。