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「要介護5」の85歳夫を在宅介護する「二重の困難」…家計もメンタルも追い詰められた夫婦

佐々木さん夫妻(名前はすべて仮名)の家庭では、夫が80代に差し掛かり、要介護認定3を受けてから介護の必要性が生じた。最初はデイサービスを転々としたが、夫が満足する事業所には巡り会えず、徐々に利用を拒否。妻がつきっきりで介護にあたったが、徐々に精神的負担を感じるようになった。

ある時、特別養護老人ホームへの入所をケアマネージャーに提案されたが、「夫に申し訳ない」と断ってしまう。その後、この夫妻を待ち受けていた事態はどんなものだったのか。

前編はこちら:「デイサービスに行きたくない」85歳夫と「介護に限界」妻の埋まらない溝が生んだ悲劇

よくしゃべるようになった夫

【登場人物と周辺状況】
夫 佐々木健雄さん 85歳 要介護5 月々の年金25万 認知症ではない
妻    純江さん 80歳 要支援2 月々の年金10万 認知症ではない
ひと月の世帯収入 35万 一年の世帯収入 420万

それから坂道を転げ落ちるように体力が落ちた健雄さん。2年後には足腰が衰え、夜中のトイレに向かう際に転倒することも増え、大腿骨骨折手術も経て、ついには車いす生活となったのです。

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要介護認定も4となり、食べ物もこぼしたり、手が震えたり、失禁も多くなり手がかかるようになりました。こうなると80の妻では介護が難しくなり、娘がかなりの頻度で寝泊まりするようになりました。

当初は母の言葉に真剣に耳を貸さなかった娘でしたが、母親の大変さがわかるようになったようで、それまでは介護の情報にも疎かったのですが、介護の経験がある友人から情報も集めるようになりました。泊まりのショートステイを利用し始めたのも、娘からの提案でした。

もっと早い段階からもショートステイの利用は可能でしたが、健雄さんが他人に世話になることを望まなかったこと、妻や娘も「自分たちで面倒を見た方が幸せだろう」という使命感のようなものも持っていたため、見送っていたのです。ところが、いざショートステイを始めると、予想外の変化がありました。

「明らかにそれ以前に比べて父がよくしゃべるようになりました。自宅にいても私か娘など決まった人との会話だけしかしませんが、ショートステイに行くと職員さんなど今までとちがう人と話せることが楽しいのだと思います」(妻の純江さん)

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