2021.11.05
# 野球

1996年の日本シリーズ、オリ仰木彬監督が「猛抗議」のウラで考えていた作戦

プロ野球・裏面史探偵(11)

塁審をベンチ裏へ“連行”

オリックスが25年ぶりのリーグ優勝を果たした。前回、仰木彬監督が指揮した1996年は日本一にまで上り詰めた。巨人との日本シリーズにおける“名抗議”のシーンは、今も鮮明に記憶に残っている。

96年10月24日、オリックスが3勝1敗と王手をかけて迎えた第5戦。舞台はオリックスの本拠地・グリーンスタジアム神戸。試合はオリックスが星野伸之、巨人が斎藤雅樹の先発で始まった。

オリックスの5対1で迎えた4回表、巨人が反撃に転じた。1死一、三塁で打席には7番・井上真二。右のクラッチヒッターだ。

サウスポー星野が投じたカウント1-2からの4球目はフォークのすっぽ抜けのように映った。これを井上はうまくすくい上げ、センター前に運んだ。

オリックスのセンターは名手の本西厚博。地面スレスレの打球をグラブの網で拾い上げた。

しかし、二塁塁審・井野修のジャッジは「フェア」。ダイレクトキャッチではない、との判定である。

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すぐさま本西はバックホームしたが、三塁から落合博満が還り、なおも一、二塁。“疑惑の判定”がゲームどころかシリーズの流れをも変えようとしていた。

もちろん本西は納得しない。井野の前まで詰め寄り、「捕っているじゃないか!」とヒザをついて抗議した。井野が首を横に振ると、グラブを後方に放り捨て、“やってられない”とでも言いたげな表情をつくった。

と、その時である。一塁ベンチから駆けつけた仰木が井野の腕をひったくるようにして、ベンチ裏へ“連行”し始めた。主審の小林毅二に対しても激しい口調でまくしたてた。

「ビデオで確認しようや!」

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