M5超えの「巨大地震」は、年内にやってくる…次に災害におそわれる「大都市の名前」

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大仏も守ってくれない

「当時、津波の被害が一番大きかったのは由比ヶ浜です。津波は堤防を破壊して、密集した民家を呑み込みました。その大半は引き波によって流失しています」(浪川氏)

いまも由比ヶ浜には多くの人が住んでいるが、かつてとは違って海岸に堤防が存在しない。そこには、文化都市・鎌倉ならではの事情もある。

「本来ならば、津波対策として海岸沿いに堤防や津波避難タワーなどを作るべきだと思います。ただ、観光産業や景観への影響を懸念する住民の声が無視できないんです」(前出の和田氏)

海岸付近を一掃した津波は止まることなく市街地へと侵入を続ける。何も障害物がない若宮大路を遡上して鶴岡八幡宮へと向かうはずだ。

 

「元禄地震で、津波は海岸から2km以上も離れた鶴岡八幡宮まで届いたそうです。若宮大路の東側には市街を南北に貫く滑川も流れているため、2つのルートから津波が侵入してくる可能性があります」(前出の島村氏)

では、「津波来襲時緊急避難空地」に指定されている高徳院はどうか。ここは、鎌倉のシンボルとして親しまれてきた鎌倉大仏がある寺として広く知られている。

海岸からの距離は約800m、海抜は12mあるが、本当に津波から身を守れるかどうかは定かではない。前出の高橋氏はこう解説する。

「奈良の大仏と違って、鎌倉大仏は建物の中にありません。1495年、鎌倉を襲った明応地震(推定M8・2〜8・4)で発生した津波によって大仏殿が流されたからだとされています」

市街全域が津波に呑み込まれてしまっても不思議ではない。周囲の山があるため行き先を失った津波は市街に留まり、鎌倉は水底に沈む。浸水した車や住宅から火災が発生すれば、東日本大震災のような惨状が広がる。

これは紛れもなく、すぐ目の前に迫った「現実の危機」だ。

警告を発する研究者たちの声に耳を傾け、我々はこの来たるべき大災害に備えなければならない。

『週刊現代』2021年10月23・30日号より

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