キャスター・小倉智昭さんが「がん転移」もっとも後悔している「あの時の決断」

一度はがんを克服し、テレビの世界に戻ってきた小倉氏。だが、彼には新たな試練が待ち受けていた。切るべきか、切らざるべきか。どんな選択をしても後悔がつきまとう。がん患者が抱える葛藤とは。

「温存」を選んだ理由

「検査結果を知らされて、誰よりも僕自身が一番驚きました。知らない間に、がんが肺に転移していたんですから。

5年前にがんが見つかった時点で、すべて切っておけばよかった。こうなってしまったのも、自分のせいです」

10月4日、キャスターの小倉智昭氏(74歳)がラジオ番組「くにまるジャパン極」(文化放送)で、こう語りだした。

治ったと思っていたがんが、肺に転移していた。'16年5月に膀胱がんを公表して以来、一時は完全復活を遂げ『とくダネ!』(フジテレビ系)の総合司会を勤め上げた小倉氏の告白は、衝撃をもって報じられた。しかも病状はステージ4で、肺以外にも身体のどこにがん細胞がちらばっていてもおかしくない状態だという。

Photo by iStockPhoto by iStock
 

小倉氏にとっての最大の後悔—それは膀胱の全摘手術を躊躇い、2年半もの間、温存してしまったことだった。

ぜんぶ切らなくても大丈夫だろう。その判断が、転移を招いてしまった。

小倉氏は膀胱がんが発覚した後に、2度にわたる内視鏡手術で腫瘍を部分的に切除している。それでも、全摘手術だけは避け続けた。その結果、がん細胞が膀胱の筋肉層にまで深達してしまった。最終的に小倉氏が全摘に踏み切ったのは'18年11月、発覚からすでに2年半が経ったタイミングだった。

「がん細胞を切ってしまえば転移や再発のリスクは減りますが、日常生活に多少の不便が出てくる恐れがある。小倉さんが罹患した膀胱がんならば、全摘によって人工膀胱を作る必要が出てきます。キャスターという仕事柄もあり、行動に制限がかかるのを嫌ったのでしょう」(保坂サイコオンコロジー・クリニックの保坂隆医師)

全摘を拒否しているうちに、がんが転移してしまった。この状況だけみれば、温存療法を選んだ小倉氏の「決断」は間違いだったように思えるだろう。だが、がんの治療をめぐる現実は、そんなに単純なものではない。

関連記事