体は30歳でも20歳の頃の記憶しかない…

大好きな彼の隣に真っ白のウェディングドレスを着た私。たくさんの人に祝福されているような結婚式の様子……。そんな夢を見ていて目を覚ますと、「あれ?」「ここどこ?」と浦島太郎状態の主人公が、病室のベッドにいるシーンから始まる『目が覚めたら30歳、新妻でした~10年分の記憶が無い!~/ぶんか社』。作者は恋愛漫画を数多く描いてきた漫画家・晴瀬リンさん。

実はこの作品、打ち合わせの段階で担当編集が「シリアスな夫婦漫画をぜひ!」と晴瀬さんにお願いしたところ、「結婚のリアリティがわからない(困)」とかなり悩まれたそう。そこで、わからないのであれば、主人公本人も「わからない」、「わからなくなってしまった」、「覚えていない」、「主人公を記憶喪失にしちゃうのはどう?」という流れで漫画の種が生まれたのだとか。

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そこからはサクサクと内容の方向性が決まり、「30歳だった主人公が20歳の頃の自分しか覚えていないとかインパクトありそう」と、晴瀬さんから次々とキャラクターやエピソードが湧き出てきて今に至っている、と担当編集の鴻巣さんが当時のことを振り返り教えてくれました。

タイトル通り、この作品の主人公は10年分の記憶がない30歳の女性、倉田絵海。交通事故が原因でここ10年の記憶が抜け落ちてしまい、体は30歳だけど、頭と心は20歳のまま。絵海は、子どもの頃から大好きだった幼なじみの初恋相手・翼と結婚したはずなのに、記憶を失った10年間の間に翼の弟・翔と結婚したと聞かされます。

あまりの衝撃に現実が受け入れられない絵海は翔に強くあたり、「あんたの顔なんか見たくない」と言ってしまいます。ですが翔は、「10年かかってやっとおまえを振り向かせたんだ。そう簡単に手放すかよ」と絵海を抱きしめます。鴻巣さんもこのページを印象的なシーンのひとつに挙げ、「そんなに一途に想ってくれていたの……」と翔の想いの強さにキュンとし、ときめくとおっしゃっていました。

最後に、この作品に関する裏話などありませんか? とお聞きしてみたところ、「晴瀬さんとの打ち合わせはかなり独特で、ひとまず『次話へ続く!』のエピソード部分だけ決まっていて、そこに至るためにどうしたらいいだろうか、というかなりアドリブ感の強い打ち合わせをいつも行なっています。なのでプロットらしいプロットはないんです。

スタートはちょっとシリアス、その後はラブコメめいた作品なのですが、最新話はかなりシリアス度が高まってきていて驚く展開です。絵海には、すごく暗い過去がある設定のため、その部分を読まれた方はプロットをすごく緻密に作っているように思うかもしれませんが、実はそんなことはなくて(苦笑)。それでも毎回おもしろいエピソードが出てくるので本当に連載漫画って不思議です。かわいらしいタッチながら急にくるシリアスさをハラハラしながら楽しんでいただければうれしいです」と、意外な制作の裏側と見どころを教えてくださいました。ぜひチェックしてみてください。