2021.11.28
# 学校・教育

「親ガチャ問題」、児童福祉の専門家が「親の問題で済ましてはいけない」と考えるワケ

負の世代間連鎖を断ち切る支援を

「親ガチャ」とは何か

様々なSNSやメディアを中心に「親ガチャ」が話題となっています。

子ども側からの視点で、自分が生まれ育った家庭や親の職業、経済状況など、「親は自分では選べない」という意味のようです。「ガチャ」とは、カプセルを開けてみるまで中に何が入っているのかがわからないものであり、その選択は自分の力ではどうすることもできないという特徴を捉えたものです。またほとんど入っていない数少ない当たりとその他多くのハズレの割合などを揶揄しているようにも感じます。

様々なメディアで子ども側からの意見や発信は多くあるように思いますが、その対象にされる親の立場からこの言葉について少し考えてみたいと思います。

親からすると懸命に育ててきた子どもから「ハズレ」と思われること自体、とても辛く、そして悲しいことです。もちろん全ての親が子どもにとって良い親であるとは思いません。中にはとてもひどい親がいることも事実です。私は児童福祉が専門であり、これまでにも様々な事案に関わってきました。中には「なぜそのようなことをするのか?」「あなたのしたことは絶対に許されるものではない」などと感じた親に何人も会ってきました。

 

「世代間連鎖」の光と陰

そしてその親たちとの関わりを通じて感じたことは、確かに全体的に良い親とは言い難い人たちではありますが、私が関わってきた方々のお話をすれば、全ての面で親としてダメなわけではないのです。

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子どもが産まれた当初にはその誕生を心から喜び、子どものために一生懸命、育児に仕事にと取り組んでおられた人がほとんどでした。多くの親たちは、子どものために良い親であろうと努力をし、そしてその幸せを大切に守ろうとしているのです。

他の動物と比較して人間の子どもはとても未熟に生まれてきます。

その事はつまり人間の子どもは生まれた瞬間から、誰かに必ず育ててもらうことが前提の存在であるということです。この養育行動がなければ、人間の子どもは生きていくことができないものなのです。特に3歳までは周りの大人がきちんと目をかけて、危険を排除し安全を確保してくれているのです。だからそれぞれに成長することができていると言えます。もしかすると「ハズレ」を引いたと思っている人にも、まずはそのことは考えて欲しいです。

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