Jリーグ「歴代最強」監督のマネジメント術
「Jリーグ歴代最強」の看板に偽りなし、だ。
34試合制の昨シーズン「勝ち点83」「26勝」「88得点」「得失点差+57」など記録尽くめで2年ぶりのJ1制覇を果たした川崎フロンターレが、2連覇に王手を懸けている。11月3日、ホーム等々力競技場での浦和レッズ戦に勝利して2位の横浜F・マリノスが同日のガンバ大阪戦で引き分け以下、もしくはフロンターレが引き分けてもF・マリノスが敗れれば、昨シーズンと同様に4試合を残して優勝が決まる。
昨年はコロナ禍によるレギュレーション変更で降格がなかったために今季のJ1は20チーム38試合制で行なわれているのだが、首位フロンターレの数字がこれまた凄いことになっている。現在まで33試合を消化して「勝ち点84」「26勝」「70得点」「得失点差+49」。得点数は昨年より大幅に下回っているのに、勝ち点は既に超えている。
つまり数字からは圧倒的に勝つ試合は減ったものの、僅差でもしたたかに勝ってきた傾向が見えてくる。昨年は3つあった敗戦も今年はまだ1つしかない。
就任5年目となる47歳、鬼木達(とおる)監督のマネジメントがとにかく光る。

大黒柱の中村憲剛が引退し、夏にはチームの主力であった田中碧、三笘薫が欧州に移籍。背番号10・大島僚太の長期負傷離脱やキャプテン・谷口彰悟のケガなどもあるなかで、過密日程のなか何とかやりくりしながら乗り切ってきた。
初制覇を狙ったACL(アジアチャンピオンズリーグ)はベスト16、ルヴァンカップはベスト8で終わったものの、J1の戦いに負の影響を及ぼすことなく勝ち点を積み上げた手腕は特筆に値する。
鬼木流マネジメントの極意とは何か――。大きく分けて3つの要素を挙げることにする。