倉本聰が書き上げていた幻の新作『北の国から2021ひとり』、その衝撃の内容

碓井 広義 プロフィール

完成していた『北の国から』新作脚本

実を言えば、倉本聰は『北の国から』の新作を書き上げていた。それが『北の国から2021ひとり』だ。

読ませてもらうと、黒板一家が東日本大震災をどのように体験し、昨年からのコロナ禍とどう向き合っているのかも知ることが出来た。そして何より、「五郎の最期」が描かれていることに衝撃を受けた。

2021年10月9日、40年前に『北の国から』の放送が始まったその記念日に、富良野で、ある催しが開かれた。「追悼 田中邦衛さん 北の国から 40周年記念トークショー 思い出せ!五郎の生き方」である。

 

倉本をはじめ、中嶋朋子、さだまさし、蛍原徹(元雨上がり決死隊)、そして私も参加させていただき、『北の国から』と「黒板五郎」を語り合った。全国から3,000人を超える応募があり、抽選で選ばれた650人のファンが来場した。

トークショーで話をする倉本聰(手前)

驚いたのは、このトークショーの中で、倉本自身が『北の国から2021ひとり』について語ったことだ。

倉本は、ドラマのあらすじを明かす前に、客席に向かって次のような話をした。

「僕が富良野に移住して1~2年目のころ、後に黒板一家が暮らすことになる麓郷(ろくごう)や、布礼別(ふれべつ)の方へ行くと、ポツンポツンと農家の灯(あか)りが見えて、その一軒一軒の中に、それぞれ温かい家庭があることがひしひしと感じられました。

それで『灯(ともしび)』というタイトルにしようと思ったんですが、テレビ局から「地味すぎる」と言われ、『北の国から』というタイトルになりました。

純を演じた吉岡(秀隆)は今日、この会場に来ていませんが、40周年のことをずっと話し合ってきました。

吉岡は何度も富良野に来て、ひとりで山の中でキャンプをしていたんですが、実は『北の国から』の新作を一緒に作ろうと、2人で企てていました。僕も台本を7稿まで書いたんですが、諸般の事情により映像化できなくなりました。

邦さんとは、『北の国から』を「どっちかが死ぬまでやろう」って口約束をしていましたが、番組自体が『2002遺言』で終わることになり、ショックを受けました。それでも僕の中でずっと(物語は)続いていたんです。これから、どういう話だったか、お話ししてみます」

そして、作者自らが明かした、新作の内容は以下のようなものだった。

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