最近のレシピ本に起こっている「大変化」

「料理男子」という言葉が流行して10年余り。一人暮らしで自炊する、家族と暮らして妻と交代で料理する、といった男性はそれほど珍しくなくなっている。さらにコロナ禍で、外食が難しくなって自炊を始める男性、妻の大変さを見かねて料理を分担し始める夫たちも多い。

そうした男性たちが増えた結果、レシピの世界に起こったことが実は、これからの社会の可能性をも示唆している。10月25日に刊行する『人気レシピ本が教えてくれた ラクしておいしい令和のごはん革命』(主婦の友社)の執筆を通して分かった、新しい潮流を紹介したい。

-AD-

家庭料理の世界は長らく、レシピ本に携わる出版社、料理家などの情報の提供側も読者も、女性に偏った業界だった。レシピの読み手は、料理の基礎があることが前提とされていたうえ、家族のために料理する、という暗黙の了解があった。

ところが、最近増えている男性の読み手は、必ずしも家族のために料理するとは限らない。ほぼ知識ゼロで台所に立つことも珍しくない。そうした男性たちが求めるレシピ本が近年、次々と誕生している。

「ロジカル」なレシピ本が続々

男性たちに人気のレシピには、大きく分けて二つのタイプがある。一つは初心者向け、一つは趣味の料理である。さらに初心者は、基礎をきっちり学ぼうとする男性、自炊に必要なノウハウを知りたい人たちの二手に分かれる。

料理の基礎をきっちり学びたい男性は昔からいたが、彼らは原理原則を求める傾向がある。リタイヤ後に料理を学びたい男性が増加したことから、シニア料理教室が各地にできたのは、30年ほど前。すると、「塩ひとつまみは何グラム?」と講師に聞くなど、感覚的な料理用語ではわからないという人たちが現れた。やがて増えていったそうした声に応えようと、最近「ロジカル」を打ち出した人気レシピ本がある。