高市議員が誇る実績とかけ離れた旧姓使用の実態

昨年12月、強硬な反対派の一人とされる高市早苗議員(現自民党政調会長)と、テレビ朝日ABEMA Primeでご一緒しました。彼女はこの日、「マイナンバーカード、パスポートも併記可能。実生活上、不便を感じることはほぼない」「医療関係の資格も含め、私が総務大臣に就任してほとんどの国家資格が“旧姓でいける”ようになった。この1年でも1142件、旧姓を希望すれば使えるようにした」と実績を語りました。

-AD-

私は強い違和感を持ちました。「使えるようにした」は「号令をかけた」程度だと、高市議員は本当にご存じないのか。それとも強引に当事者の苦痛や不便をなかったことにしているのか……?

事実、内閣府の調査では旧姓使用を認めている企業は半数以下。「旧姓が使える範囲」も名刺やメールアドレスなど限定的です。旧姓使用を認めていない企業の理由をみると、1000 人以上の企業では「人事関連の手続きが煩雑になるため」が 61.9%、「給与等の支払関連の社内手続きが煩雑になるため」が56.8%と高くなっていました。

内閣府:旧姓使用の現状と課題に関する調査報告書(企業調査の結果)


そして実際に旧姓使用をしている人も、6割は不便や不快を実感しています。

内閣府:旧姓使用の現状と課題に関する調査報告書

外務省も警鐘! 旧姓併記・使用のトラブル

外務省はもっと強烈な懸念を呈しています。内閣府による「女性活躍加速のための重点方針に盛り込むべき事項」の各省ヒアリングに対し、旅券に旧姓を併記をすることによってむしろトラブルが起こるケースがあると事例つきで解説しているのです。

外務省が旅券の旧姓併記に関するトラブル事例を例示した資料

2019年版では「複数の姓を公証しているように見えるため、旅券の旧姓を国内外で悪用(詐欺行為等の犯罪に利用)する者が現れる可能性」を指摘していました。現在内閣府サイトに掲載されている2020年版は、より具体的に、「旅券の別名併記とその他の提出書類に記載される氏名との不一致により、旅券を身分証明資料として扱ってもらえなかった​」という事例まで記されています。

日本国民に正式に支給されたパスポートが、怪しまれてパスポートとして扱ってもらえない。それが現状なのです。

実際、陳情アクションにも、米国駐在時、まさに旧姓併記が原因の氏名不一致で何度も足止めされ、現地IDである運転免許証が取れなかったメンバーがいます。

旧姓併記の際、パスポートセンターで渡される小さなリーフレットにも、意訳すると「旧姓では航空券予約やビザ取得はできないよ!氏名不一致で足止め食らったら、海外当局には自分で説明してね!」という趣旨の記載があります。

つまり併記したところで、旧姓では旅行も、留学も、出張も、駐在もできない。信用・実績・資産を築いてきた自分本来の氏名は、海外では意味をなさない。これが立法不作為でなくて何なのでしょう。そして、これのどこが「女性活躍のため」なのでしょう。

外務省がパスポートに旧姓併記した国民に配布する小型リーフレット