150人が150人に「生活史」を聞く…途方もないプロジェクトが生まれた理由

岸政彦さんに聞く

一般公募した「聞き手」150人が、語り手をひとり選び生活史を聞く。それぞれが持ち寄った生活史150人分が、解説も説明もなく並ぶ。150万字、1216ページにも及ぶ『東京の生活史』は今までにないインタビュー集だ。編者で社会学者の岸政彦さんに話を聞いた。

取材・文/山本ぽてと

少し距離があった東京

——なぜ「東京」を選んだのかについてお聞きしたいです。このお話は何度も聞かれているかもしれませんが。

じゃあ、ちょっと思い出話をします。いままで一度もしゃべったことのない話です(笑)。

東京に生まれてはじめて自分の意志で行ったのは、高校1年生のゴールデンウィークだったんですよ。それまでも、親に連れられて、筑波の科学万博に行って、ロケット乗った記憶があるかな。その時、親が儲かっていたので、けっこいいホテル、高輪プリンスホテルかどっかに泊まったんだけど、誰も風呂の使い方が分からなくて(笑)。

とにかく、物心ついてから自分の意志ではじめて行ったのが、高校1年生のゴールデンウィークでした。友達と3、4人だったかな。新宿にあるものすごいボロボロの一軒家の宿に泊まって、原宿で服買って、なんだかそれが楽しかった。

 

それから受験で。一浪しているんで、二回受験で行って。お茶の水のホテル聚楽に泊まったことを妙に覚えてます。あの坂道。当時バブルやったんで、新宿プリンスホテルにも泊まった。西新宿のね。ガイドブックをいっぱい買って、受験そっちのけで、すごく歩いた記憶があります。フレンチの店にひとりで入って、ランチ食ったりとか。青山に、On Sundaysっていう、今でもある雑貨屋さんがあって、そこでアートの絵葉書とかいっぱい買ったりして。

(大阪の)大学の時も、高校時代の友達はみんな東京の大学だったから、わりと夜行バスで通ってて。そうすると朝7時くらいに新宿につくわけ。マクドで時間をつぶして、若かったからそのまま徹夜で遊だりとか。すごく楽しかった。東京にはいいイメージしかないです。

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