大蔵省「接待漬け」汚職事件 ガサ入れの瞬間

金融庁戦記 企業監視官・佐々木清隆の事件簿2
まるで銭形警部のように「最新の金融犯罪」を追いつづけ、底なし沼のような腐食の連鎖に立ち向かった金融官僚の、挑戦の20年を追った『金融庁戦記 企業監視官・佐々木清隆の事件簿』から注目の章をピックアップして連続掲載!!

馴れ合い行政の世界に戻ってきた

金融検査部による大手行の検査は、2、3年おきに順番に行われるため、検査に入られる銀行側はいつごろ検査があるのか、ある程度、見当をつけることができる。そうは言っても、大蔵省の検査は建前上、何の予告もなく突然、行われることになっている。

だから銀行の担当者(MOF担当)はあらかじめ、その検査日程を正確に知ろうと、検査部門のノンキャリを接待漬けにしてでもスケジュールを探り出そうとする。佐々木はOECDで旧共産圏諸国に近代的な金融・証券システムの制度づくりの手伝いをし、銀行検査やそれによって不良債権を把握することの重要性を指導してきたというのに、帰国したら、日本でそれができていなかった。近代以前の馴れ合い行政の世界だったのだ。

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総会屋事件の捜査が進む一方、証券会社や銀行の経営が危機的な状況に陥っていった。総会屋事件で山一証券社長だった三木淳夫や日興証券、大和証券の元副社長らがこの秋以降、相次いで逮捕されるとともに、財務基盤が弱っていた金融・証券界に連鎖破綻の嵐が吹き荒れた。

経営不振の三洋証券が11月3日、会社更生法の適用を申請して倒産し、その際に金融機関の信用で成り立っているコール市場で初めてデフォルトが起きた。瞬く間に金融システム不安が広がり、北海道拓殖銀行が資金繰りに窮して17日に破綻。24日には四大証券の一角だった山一が巨額の飛ばしに耐えられなくなって破綻した。26日には三塚博蔵相のお膝元である仙台市の地方銀行、徳陽シティ銀行も破綻した。

 

株式市場は「次の危ない銀行はどこか」と物色し、日本長期信用銀行や日本債券信用銀行の株価が急落した。総会屋事件の捜査と金融連鎖破綻が進むなか、大蔵官僚のスキャンダルも相次いで表面化し、多くの大蔵官僚が銀行の奢りで、若い女性がスカートの下に下着をはかないで客に給仕する「ノーパンしゃぶしゃぶ」通いをしていたことまで明るみに出てしまった。出入り業者のカネで破廉恥な店に通っていることがバレて、この国の最高学府を出たエリートたちの権威は完全に地に堕ちた。

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