『おい桐島、お前部活やめるのか?』
『100万回死んだねこ』
『下町のロボット』

……???
今話題になっている新刊の『100万回死んだねこ 覚え違いタイトル集』に掲載されている覚え違いの本のタイトルたちだ。福井県立図書館の図書館司書の方たちが、HP(覚え違いタイトル集)にアップしていた事例を1冊にまとめたのだという。

著書は単に覚え違いをリスト化するだけでなく、そこから求めている本に行きつくヒント、図書館司書ならではのプロ級な検索技やモノを調べる探求心についても綴られている。

以前から、全国の図書館司書の方たちが発信するSNSに注目していたライターの若尾淳子さんが、図書館司書さんらの並外れた検索力の秘密が知りたくて、「100万回死んだねこ 覚え違いタイトル集」を出版した福井県立図書館司書の宮川陽子さんに話を聞いた。

-AD-

まるで探偵! シンデレラの靴の種類まで調査

数年前から「国立国会図書館レファ協公式 @crd_tweet」というアカウントをTwitterで発見し、興味深く追いかけていた。これは全国の図書館に寄せられた質問と回答の記録など、調べ物に役立つ情報を収録した「レファレンス協同データベース」(レファ協)の公式アカウントだ。

Twitterでは、参加館である全国の図書館(公立図書館のほか、大学や私立図書館も参加館になっている)から寄せられた最近の具体的な質問と、それに対する回答事例が紹介されているのだが、これがおもしろい。

図書館での『レファレンス(サービス)』とは、利用者が求める資料を検索・提供・回答することだ。利用者からのボヤッとした(覚え間違えた・うろ覚えな)書名の記憶や、掴みどころがなさそうな壮大な質問、逆に超マニアックな調べ物についても、利用者とやり取りして目指す本や資料を探し出し、鮮やかに答えを導き出していく。

国立国会図書館が運営する『レファレンス協同データベース』には 利用者からの相談事例が、一部公開されている(※1)。

相談の内容はこんな感じ。
「刑事ドラマで『取り調べといえばかつ丼』はなぜ?」「ギネスブック記録に申請する際の連絡先は?」といった調べ物依頼や「サルノコシカケの服用法」についての相談。「ショパン(作曲家)の手は果たして大きかったのか?」といった歴史系謎解きのような質問。なかには「大阪の飲食店キャラクター『くいだおれ太郎』の弟『くいだおれ次郎』が現在どこに展示されているのか知りたい」というまるで某人気探偵番組への依頼のようなものも。

そして以前、話題になった「シンデレラのガラスの靴は本当にハイヒールなのか」「百年前の牛乳瓶の正体を知りたい」(※2)などなど 、私達がイメージする図書館への相談範疇を遥かに超えた相談事例も少なくない。

photo/iStock

これらの調査の経緯と謎が解決できたかどうかの成否も詳細に報告されている。データベース全体では10万件超のレファレンス事例のうち、未解決事例は、約7700件。持ち込まれた難問揃いの相談のうち、90%以上の謎は解決済みって、すごすぎる!

100万回死んだねこ 覚え違いタイトル集』を出版した福井県立図書館はレファ協参加館でもある。これは詳しくお話を伺いたいと思った。

※1:10月21日現在、約14万件。一般に公開されていないデータも含めると、レファレンス事例データは約26万件、調べ方マニュアルなどその他のデータも合わせると合計で27万件を超えるデータが登録されている。
※2:NHKニュースサイト(2021年4月28日)より