同性婚が欲しいと発することを躊躇していた

仲間たちと、LGBTQ+にも心地よい場づくりを目指すNPO「グッド・エイジング・エールズ」を立ち上げ、当時働いていた広告会社でもカミングアウトし、二足のわらじの人生を始めたのが2010年。一橋大学アウティング事件を受けて、LGBTQ+関連の活動に専念する決意をし、会社を辞めたのが2017年。そんな私が「同性婚」の活動に関わるきっかけは、翌年の2月14日に、知り合いの寺原真希子弁護士からメールをもらったことでした。

「私が所属するLGBT支援法律家ネットワークという団体の有志で、同性婚訴訟を提起すべく準備中です。そのためには、社会にムーブメントを起こすことが必須であると考えています。ぜひ、いろんなムーブメントづくりをされているゴンさんと、具体的にどのように動けば良いかについて、意見交換させていただきたいです」

現在、マリフォーの共同代表であり、いっしょに日々動いている寺原さんから最初にメールをもらったときは、いよいよ日本でも「同性婚」に向けたアクションが本格稼働するんだ! という興奮を覚えつつ、実は、それ以上に、今後「同性婚」を求める活動に自分が関わってしまってよいのか、不安や怖さを感じていました。LGBTQ+に関する活動を始めてから、ずいぶんと時間が経っているのに、どうして不安や怖さを感じるのだろう。カミングアウトしていない頃に自分自身にも内在していたホモフォビアとも、ちょっと違う感情でした。

寺原真希子弁護士と共に「MARRIAGE FOR All JAPAN」の会見に出る松中権氏 写真提供/松中権
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数日後、寺原さんをはじめ、アライの弁護士がたくさん加わっているチームの方々との打ち合わせ。それぞれが、丁寧にわかりやすく、語ってくれます。

「同性婚が存在していないこと自体が、違憲状態」
「すべての人が幸せになる権利があるのに、同性カップルに結婚が許されていないのは不平等」
「憲法第24条に両性と書いてあるのは、当時、同性カップルが可視化されていなかっただけ。憲法は同性婚を禁止していない」
「もしもの時の看取り、相続、親権、在留資格、福利厚生、住宅、税制など...男女のカップルなら当たり前のことで、困難を抱えている」

そうだそうだ、まさにそうだ。とアクティビスト魂に火がついていくのと同時に、不思議と、少しずつ自分のなかにある不安や怖さが和らいでいくのがわかりました。それは、幼いころに自分がゲイだと気づいてから、様々な社会の差別や偏見から身を守るために体得してきたバリアやアンテナのようなものの電源、スイッチをすっと切るような感覚。「あ、このスイッチ、切っていいんだ」という感覚のほうが近いかもしれません。