ガイドライン制定により、事故物件公示サイト「大島てる」は終わりを迎えるか?

消費者の利益を守るために

大島てるの終わり?

8日、「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」(以下「ガイドライン」という。)が発表された。

ガイドラインの解説は弁護士に委ねるとして、本稿では、事故物件公示サイト大島てる(以下「大島てる」という。)の運営代表を務める筆者が、ガイドラインが大島てるに与える影響に絞って考察したい。

なお、メディアでは「事故物件のガイドラインが制定された」などと報じられているが、実際にはガイドライン自体の中には「事故物件」という用語は一度も登場しない。

それゆえ、このガイドラインを以って「事故物件」の何たるかが定義付けられたとの理解は不適当であろう。

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ガイドライン=大島てる禁止令か

まず、私にとって最大の関心事は、ガイドライン制定により大島てるが閉鎖に追い込まれるのか? という点である。

しかし、ガイドラインすなわち指針は、定義により、法的拘束力が無い。したがって、法的な意味において大島てるが規制されることにはならない。

では、大島てるはガイドラインを遵守するのか? という点についてはどうだろうか。

ここで、もう一度ガイドラインの正式名称を読んでほしい。「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」である。

「事故物件」の語が使われていない点については冒頭に記したとおりだが、それはさておき、「宅地建物取引業者による――」なのである。つまり、そもそも大島てるはガイドラインを遵守すべき立場にない。

この点について少し詳しく触れることにする。

国土交通省にとって宅建業は規制業種であり、宅建業者にとって国交省は監督官庁である。

ガイドラインから引用する:

「個々の不動産取引に際し、人の死に関する事案の存在が疑われる場合において、それが買主・借主に対して告知すべき事案に該当するか否かが明確でなく、告知の可否、告知の内容についての判断が困難なケースがある。不動産取引の実務においては、取引の対象となる不動産において過去に人の死が発生した場合に、取り扱う宅地建物取引業者によって対応が異なり、中には、人の死に関する事案の全てを買主・借主に告げているようなケースもあり、人の死の告知に関する対応の負担が過大である」(太字は筆者による)

「事故物件のルールが曖昧で、現場は困り果てている。大変な労力をかけて調べ上げ、本来ならば告知しなくてよさそうなケースも、クレームが怖いのでとりあえず全部お客さんに伝えている」とでも意訳できようか。

読者によっては上記が実感そのままであろうし、同時に、別の読者にとっては実感と全く異なるだろう。

 

いずれにしても、宅建業者側がガイドライン制定を望んでおり、それが本ガイドライン制定の背景にあるという点には留意が必要である。

消費者側が国に働きかけ、それを受けて制定されたガイドラインではないのである。実際、ガイドラインの内容を不動産業界が総じて好意的に受け止めている。

これが何を意味するか、あらためて考えてほしい。

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