音楽家たちが考察したくなるBTSの歌唱力

BTSというと、「ダンスがうまい」「パフォーマンスがいい」という点ばかりがクローズアップされがちだ。それらも重要な要素だが、「歌唱力」も忘れてはいけないポイントだ。K-POPの場合、「歌唱力があるのは当たり前」という前提がある。そういった意味からいえば、BTSよりも歌がうまいシンガーやグループは存在する。

それなのに、SNSなどを細かく検索すると、ポップス系音楽家だけでなく、他のジャンルの声楽家や弦楽器、管楽器や打楽器の専門家など、音のプロがBTSの歌唱力について考察するツイートや動画は少なくない。多くの人があげているのが、「多彩な声質」で構成されているということだ。

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パズルのピースがピタッとハマるように、その音の高さを確実に捉えられる技術を持った人たちだと思います。後ろで鳴っているコードの和音に重なる音の高さが、少しでも上ずったり、または低かったりすると聞いている側はなんとなく居心地が悪くなってしまうものですが、音の高さが安定している人だと、フレーズの最初から最後までその違和感がありません。

BTSは全員、音の高さを確実に捉える能力が長けていて直感的に上手いな!とすぐ分かる。全員のボーカルテクニックが安定しているのです。音域の広さは多彩なハーモニーを生み出すのに重要な要素ではありますが、それらは安定していなければ美しいハーモニーを生み出せないのです

というのは、現役オペラ歌手として活躍し、BTSやNCTなどの歌唱解説をSNSにツイートしているアコさんだ。今回は、アコさんにBTSの「歌唱力」について考察してもらった。

「1点申し上げておきたいのは、私も歌手として活動をしていますが、BTSとは異なるオペラというジャンルです。BTSと同ジャンルの専門の方からすると見当違いな考察をしている可能性もあるかもしれません。ただ、オペラ歌手という立場で聞いても彼らの歌声には驚きや心を打つ部分がたくさんあります。あくまでも声楽家という私のジャンルの視点で、ということをご理解いただければと思います」(アコさん)

では解説に入る前に、簡単にBTSの構成を説明しよう。ラップライン(ラップを主に担う3名:RM、SUGA、J-HOPE)とボーカルライン(歌唱の部分を担う4名:JIN、JIMIN、V、JUNG KOOK)で構成されている。ボーカルラインでは、JUNG KOOKがリードボーカルを担っているが、曲によってはメインがチェンジすることもある。

写真右から、J-HOPE、JUNG KOOK、JIMIN、RM、JIN、SUGA、V。photo/Getty Images

今回はテーマが歌唱力なので、ボーカルラインを中心にお話を伺った。4人の声や歌い方の特性をまずは解説いただこう。