米国は長期的に対中抑止シフト、これがアフガン撤退とAUKUSの意味

今度は日本、台湾との同盟が最前線
渡部 恒雄 プロフィール

米国世論が求めるアジア・リバランス

実際、アフガニスタンからの撤退の強行は、どうみても拙速で、米国民からも同盟国からも、信頼を損ねる行為だった。しかもジャーナリストのボブ・ウッドワードとロバート・コスタの近著「Peril」は、ブリンケン国務長官とオースティン国防長官のどちらも、アフガニスタン政府軍の脆弱さを考慮し、米軍の撤退期限を延長するようにバイデン大統領に助言をしていた事実を暴露した。これによりバイデン大統領自身の判断能力も懸念される状況となった。

一方で、米国民は拙速による混乱には批判的だが、撤退自体の判断については70%が支持をしていた。それは米国人が、2001年のアフガン侵攻以来、20年を迎えようとしている米国史上最長の「長い政争」である戦闘に疲れているだけでなく、今の米国の最大の脅威は、中東発のテロではなく、中国との安全保障と経済の競争にあるという認識変化があるからだ。

10月7日にシカゴ・グローバル評議会が発表した一般の米国人を対象にした世論調査において、米中の力の拮抗についての質問がなされた。

軍事力については、現在、46%の回答者が米国優位、30%が互角、18%が中国優位と考えている。2年前には58%が米国優位と回答していたが、この一年で、米国という回答が12ポイントも低下し、逆に中国が優位と回答する数は2年前の11%から7ポイント、互角と回答する数は30%から5ポイント上がった。

経済力については40%が中国優位、31%が互角、27%が米国優位と回答しており、7割以上の米国人が中国は米国と互角かそれ以上だと考えているということになる。

 

また、中国との貿易は米国の安全保障を強くするか弱くするか、という質問には、2019年には64%が米国の安全保障を強くすると回答していたが、2021年には38%に減り、58%が弱くすると回答するようになった。

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