「感謝することによって、平気でいられる」
山中 僕から見ると西濱先生は、レジリエンスのかたまりなんよ。胃がんの手術をされて、一旦きれいに全部手術成功して、これでもう大丈夫、良かった、良かったって思ってたら、非常に特殊なタイプのがんだったらしくて、あっという間に肝臓に転移して、気が付いたらもうどうしようもない状態だった。肝臓って不思議な臓器で、肝臓のほとんどががんでも、なんかお元気なんだよね。で、ある線からもう急激に悪くなるんですけども、だからそのギリギリのところでお会いして、ご本人は当然ご自分の残された時間を知っておられて。そんな中でもそうやって僕に一生懸命教えてくれるくらいですから、ほんとレジリエンスのかたまりのような先生。
成田 うんうん。

山中 その先生が、レジリエンスをどう鍛えるか? って話になったときに「僕は感謝だと思う」とおっしゃったんです。教え子がみんなすごい心配して。主治医も教え子で、医者になった教え子たちが治療法を提案したり、医者じゃない教え子も集まってきてくれて励ます会を催したりしました。そうやって教え子たちが自分を支えてくれることに「すごく感謝している」と先生がおっしゃって。「感謝することによって、僕はこうやって平気というか、ちゃんとしていられるんだ」っていうようなことをおっしゃった。あれは先生から最後の授業を受けたと思っているんやけどね。
成田 山中君が話した「ありがとうを言い合える関係性」に通じるね。やっぱ、感謝って大切ですね。
山中 そうなんです。
次回は【しぶとい子どもは目線が違う】です。
▼『山中教授、同級生の小児脳科学者と子育てを語る』は絶賛発売中。山中教授が初めて「子育て」について、医学部時代の同級生で、山中教授の「恩人」でもあった小児脳科学者・成田奈緒子医師と語った貴重な対談です。
第一章 「ほったらかし」が子どもを伸ばす
第二章 親子で「ええかっこしい」をやめる
第三章 良い習慣が脳を育てる
第四章 常識を疑える子どもに育てる
第五章 レジリエンスを身につけさせる
第六章 しぶとい子どもは目線が違う
第二章 親子で「ええかっこしい」をやめる
第三章 良い習慣が脳を育てる
第四章 常識を疑える子どもに育てる
第五章 レジリエンスを身につけさせる
第六章 しぶとい子どもは目線が違う