「壁の穴」は、1963(昭和38)年、渋谷区宇田川町にオープン。お客さんの要望に応えてあらゆる料理やソースを手掛け、気づけばその数は200種類にも及びます。

ソーセージ、ベーコン、ステーキを使ったスパゲティ「若者のアイドル」、バターソテーした5枚の椎茸をスパゲティに和えた「シャネルNo.5」といった独自のメニューが生まれ、そのひとつに「たらこスパゲティ」があります。

元祖たらこスパゲッティ 1078円(税込)

ある日、キャビアを持参したNHK交響楽団のホルン奏者に「スパゲティにのせてくれ」と言われたことがはじまり。そこから着想を得て、たらこをのせたそう。

当時まだ日本では馴染みが薄かったイタリア料理を、如何に日本人の舌に合わせるかを考えた結果、雄飛さんがおっしゃった通り、納豆やうになど日本の食材を使ったメニューが開発されました。

-AD-

和の要素はそれだけにあらず。「壁の穴」のスパゲティは化学調味料を使わず、昆布粉をパスタソースに加えることで、素材の味を損なわず旨みを出すことに成功しています。

そして、パスタにもこだわりあり。

開店当時主流だったのは、ゆで麺をケチャップで炒める「ナポリタン」。しかし、本場・イタリアでゆでたての麺が食べられることを知っていた創業者の成松孝安氏は、イタリア通の常連客に試食をしてもらいながら麺をセレクト。

ゆで時間の研究を重ねた末、オーダーを受けてから麺を茹でる“アルデンテ”の提供にたどり着きました。それは今もこれからも変わらない「壁の穴」スタイルのひとつです。

さて、たらこスパゲッティのお味はというと……。

海苔の磯の香りとバターの風味、たらこのプチッとした食感、やや太めのパスタ。すべてが絶妙なバランスで合わさって、得も言われぬ美味しさ。長年愛されてきた味がここにあります。

元祖からたらこスパゲッティは進化を遂げ、今ではメニュー表にまるまる1ページ「たらこスパゲッティ」のスペースがあるほどに。