だが、ジョアンナがどんどんエスカレートしたのは、家族を養うというプレッシャーにさらされていたのが一因だ。これはモラン氏が一家の大黒柱として苦労した事実を反映している。

「青春モノにはパーティーやデートの話がたくさん出てきますが、それには全てお金がかかっていますよね? 私たちの時間ってほとんどがお金を稼ぐことに費やされているのに、お金のことが青春物語に出てこないのが不思議だとずっと思っていました

私みたいな労働者階級の女の子がどうやって仕事に就いたのか、階級社会や男性優位社会の様々な差別をうまくかわしていきながら、お金を稼いでいかなければいけない女の子のリアリティを描きたかったんです」

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若い女の子を性的対象に見ない男性がいてもいい

イギリスは階級社会だ。いくらグランジファッションでキメていても、出版社の編集者たちはオックスフォードやケンブリッジ卒のエリート男性がマジョリティ。そんななか、貧しい16歳の女の子だったモラン氏は孤立していた。年上の編集者たちとつるんではいたが、彼らとは決して本物の友達になれなかった。けれども、いつしか、はみ出し者が多いミュージシャンたちと友情を築いていったという。

映画では、ジョアンナが年上のミュージシャン、ジョン・カイト(アルフィー・アレン)に恋をし、2人は魂がつながるような友情を育んでいく。ネタバレを避けたいのでこれ以上の説明は避けるが、本作は、年齢や性別に関係なく、友情が育つことを教えてくれる。

『ビルド・ア・ガール』より

「女性と男性が“本物の友達”になるというストーリーにしたかったんです。とりわけ、若い女性が年上の男性に憧れて恋に落ち結ばれる、というハッピーエンドの映画が多いですが、若い女の子を“欲望の対象に見ない”年上の男性がいてもいいでしょう? 現実には年上の男性と付き合う女の子ばかりではないのに。映画の作り手側にいる男性の願望なんですかね(笑)?」