エリザベス・テイラー、シルビア・プラス、シャーロット・ブロンテ、ヘミングウェイ、ヴァージニア・ウルフ……映画のジョアンナの部屋の壁は、彼女が敬愛する作家、俳優、歴史的人物の写真や文章のコラージュで埋め尽くされており、物語の重要な一端を担う。これらの人物たちは実際にモラン氏のアイドルで、彼らの伝記に夢中になったという。

「学校に行っていない間やることがなかったので、図書館の本を全部読んでしまったと思います(笑)。色々な伝記を読むと、その人物になったような気がして、彼らが犯した人生の間違いや学んだことを追体験することができました。

ちょうど昨日読んだ本には『よい本を読むことは、別の誰かの脳を移植し、その人の人生を生きるようなものだ』と記されていましたが、本を読むことで様々な人の生き方を知り、自分自身をビルド・アップ(構築)していったように思います」

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家族を養うために毒舌がエスカレート

10代前半で文章を書くようになったモラン氏は、様々な若者のエッセイコンテストで賞を獲得する。そして16歳で音楽ライターとしてデビューした彼女は、“売れる”ために辛口音楽レビューを書き始める。

『ビルド・ア・ガール』より

映画のジョアンナは「ドリー・ワイルド」というペンネームを使うが(モラン氏はこのペンネームを使わなかった)、ドリーは実在したアイルランド人作家、オスカー・ワイルドの姪の名だ。第一次世界大戦後のパリのサロンで有名な論客だったドリーは、セクシーな男装のレズビアンだった。今で言うトランスジェンダーと考えられる彼女はワイルドでクレイジーなライフスタイルを送っていたが、ヘロイン中毒となり、自殺を試みるほど「人生を生き急いでいた」人物であった。だから、モラン氏はジョアンナの過激化を「ドリー・ワイルド」という名前で表現したという。