モラン氏は、性差別は“男性vs女性”の対立構造から生まれたものではなく、家父長制的な価値観やジェンダー規範に染まった“強くなりたい男性”が、力の弱い存在を虐げる現象だと考えている。

「だから、“自分の力を誇示しよう”とする男性は、女性だけでなく男性も虐げるんです

現在モラン氏は、社会制度や慣習に染み付いた性差別、セクハラやパワハラ、不平等をなくそうと、フェミニストとして多岐にわたる活動をしているが、それは同時に、ジェンダーのくくりを離れた“社会の弱者”を救う戦いでもあるのだ。

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学校に行けなくても学ぶことはできる

映画で描かれるように若くして文才を発揮したモラン氏だが、実は、中学と高校に通っていない。それには、彼女の家庭の事情があった。

『ビルド・ア・ガール』より

イギリスの郊外、ウルヴァーハンプトンの貧しい大家族で育った彼女は、8人きょうだいの長女だったが、ジョアンナと違い、中学や高校にも行けず11歳からホームスクーリングをしていた。ホームスクーリングと言っても、元ドラマーで無職の父親と子沢山で疲れきった母親は、基本的にはモラン氏のことは放ったらかし。生活保護を受けていた一家は、地元で唯一のヒッピーのような家族だったという。

それでも両親やきょうだいに愛されて育った彼女は「幸せな子供時代だった」と話すが、学校に行けなくなってからは、あまりにも退屈で毎日図書館へ行って本を読んでいたと振り返る。