食を取り巻く状況は日々目まぐるしく変わっています。深刻化している貧困問題や、社会全体での取り組みが叫ばれている食品ロス問題。漁業も、農業も、今大きな転換期にあります。未来の食を考えるには、現状を知ることが大切。今知っておきたい食の課題と、解決に向けた取り組みを学びましょう。

海に囲まれた島国の日本。水産資源は豊富だと思いがちだけれど、じつは今、日本の海と魚は大きな危機に直面しているんです。前回の記事では、東京海洋大学産学・地域連携推進機構准教授の勝川俊雄さんによる「日本の海と魚に訪れた危機」に関するお話と、水産資源の管理を見直すアクションの実例をご紹介しました。今回は、「サステナブルシーフード」「マグロ専門の卸問屋」にクローズアップします。

勝川俊雄さん
かつかわ・としお/東京海洋大学産学・地域連携推進機構准教授。専門は水産資源学。日本の漁業を持続可能な産業に再生するべく活動。著書に『魚が食べられなくなる日』(小学館新書)など。

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毎日買える、サステナブルシーフード

ASC認証商品にはグリーンの認証が。

持続可能なシーフードの国際認証には養殖業におけるASC認証と、天然水産物におけるMSC (Marine Stewardship Council)認証がある。大手スーパーのイオンは、2006年からMSC認証商品を、2014年からASC認証商品を取り扱っている。2015年には認証商品を一箇所に集め販売する常設売り場「フィッシュバトン」を設置するなど、サステナブルシーフードの認知向上に力を入れている。

「フィッシュバトン」は全国68店舗で展開中。MSC認証商品は29魚種48品目、ASC認証商品は11魚種22品目を扱う(店舗により品揃えは異なる)。

「以前は大量に漁獲でき、低価格で販売していた魚が獲れなくなって値上がりする。2000年を過ぎた頃から、世界の海で異変が起き始めました。このままでは魚が食べられなくなる日が来てもおかしくない。しっかりと資源管理をして、次の世代に豊かな食文化を引き継ぐことが小売店の使命であるという考えのもと、認証商品の取り扱いを始めました」(イオンリテール 食品本部 松本金蔵さん)

ツナ缶などの加工品にも認証商品がある。天然水産物に対するMSC認証はブルーのMSC「海のエコラベル」が目印。

当初は食品全体に対する認証商品の売り上げは1%ほどだったが、現在は20%まで伸長。売り場での地道な情報発信に加え、手に取りやすい価格設定も認知度アップを支えている。

海外から輸入した認証付きサーモンを店内で切り身に。認証商品を扱うには、外部機関の監査を受けて加工や小売業者向けのCoC認証を取得する義務がある。

「認証商品の生産にはコストがかかりますので、当然仕入れ値は高くなります。また認証商品を扱うには小売店側もCoCという流通・加工・小売業に対する認証を取得しなければならず、各店舗の設備改善や社員教育にも投資が必要です。イオンでは物流面などのコストを削減するなどして、価格を抑えるよう努力しています。まずは多くの方に食べていただき、そのおいしさを知ってもらうこと。認証商品だからおいしい、また買いたいと思っていただくことが健全な海を守ることに繋がる。そんなサイクルを作っていけたらと考えています」

東京のイオンスタイル板橋前野町のフィッシュバトンコーナー。映像や展示などで水産資源の抱える問題や認証制度について紹介する。

「おいしい!」という感動。それがサステナブルシーフードの輪を広げる第一歩になる。