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9.11テロ容疑者を襲った収容所での尋問 水責め、強制性交…なぜ男は闘い抜くことができたのか

『モーリタニアン 黒塗りの記録』

提供:キノフィルムズ

9.11米同時多発テロの首謀者の一人とされたモーリタニア人は、一度も裁判が開かれることなく、罪の証拠もないまま、14年間拘束されていた。グアンタナモ収容所で、何が起きていたのか──。3000人近くが犠牲になった9.11から20年。アメリカの闇を暴く実話に基づいた映画『モーリタニアン 黒塗りの記録』が10月29日から全国公開される。

「不当な拘禁」でアメリカ合衆国を訴える人権派弁護士をジョディ・フォスター、米軍側の起訴を担当する中佐をベネディクト・カンバーバッチが演じるなど、名優たちの共演にも話題が集まる本作。公開に先立ち、ジャーナリストの堤未果さんに、映画の見どころ、今この映画を見る意義について伺った。9.11のとき、NYの世界貿易センタービルの隣のビルで働いていた堤さん。テロを目の前で目撃したことが、ジャーナリストの道に進むきっかけになったという堤さんは「ずっとこういう映画を待っていた」と語る。

 

9.11の傷は癒えていないし、テロとの戦いは続いている

──映画をご覧になって、まず、率直な感想を聞かせてください。

9.11から20年目というタイミングでこの映画が上映されることに、大きな意義を感じます。キューバのグアンタナモ収容所に関しては、人権団体やNPOなどが問題提起する動きは今までにもあったのですが、今回素晴らしいと思ったのは、監督がドキュメントにしなかったこと。上質なエンターテインメントとして世の中に出したことが大成功だと感じました。

ジャーナリストの堤未果さん (c)今井一詞

というのは二つ理由があって、アメリカ人にとって9.11はまだ生々しい記憶だからです。収容所の人権問題などは考えなければいけない問題だとわかっているのですが、大切な人を失った悲しみや喪失感は、いまなお癒えていないし、テロとの戦いはいまなお続いている。そういう状況の中でドキュメントを見るのは、ちょっときついんですね。

もう一つは、この20年間でSNSが我々の生活の隅々にまで入り込んできたことで、情報が「個人化」したことがあげられます。

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──SNSで情報が個人化し、人は見たいものだけを見るようになりました。

そうですね。個人は自分が見たい情報を選べるようになったし、企業はカスタム広告を打てるようになり、GAFAのようなプラットフォーマーは情報を囲い込むようになった。SNSのなかった時代に比べて、遠い世界のこと、他者のことを、皆が一緒に考えることが難しくなりつつあります。だから人権派のドキュメンタリーを作ったとしても、興味のある人は見るけれど、そうでない人にまで届けるのが難しい。デジタルテクノロジーの弊害の一つです。

この映画はエンターテインメントだからこそ、マスに届くと思います。私はずっとこういう映画を待っていたので、監督に感謝したい気持ちですね。