自分の振る舞いをちょっと変えるだけで
違和感の“再生産”の連鎖は断ち切れる

「ジェンダーギャップのあるイベントの登壇をお断りすることにしました」。昨年7月、ITベンチャーun︐i queの代表・若宮和男さんが書いた記事が話題になった。スタートアップ・ベンチャー業界でのジェンダーギャップを解消する事業などに取り組み、イベントでの登壇も多い若宮さん。ジェンダーバランスがとれていないイベントの登壇を断る理由とは?

「自分が登壇することで、女性1人分の席を奪う可能性があるからです。4人きょうだいのなかに男1人という女性マジョリティの家庭に育ったこともあり、理系大学での女性の異常な少なさや、企業での女性の不利な状況に違和感がありました。登壇者が男性ばかりのイベントへの違和感も強くなり、この宣言をしました」

Photo:Tada(Yukai)

そう話す若宮さんだが、いわゆる「業界の常識」に慣れ、ジェンダーギャップに加担してしまっていることがあったと振り返る。「業界の常識」を破ることへの懸念はなかったのか。

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「男性主体の業界でジェンダーに関して声を上げることで、反感を買ったり仕事が減ったりする懸念もありましたが、娘を2人もつ父親として、未来にこの負債を残してはいけない、と。自分には偏見がないことを前提にすると、自分の中にある無意識の偏見に気づけなくなるので、常に『自分にも偏見はある』と考えて、異なる価値観とも出会うようにしています。子どもと話す際にも男女でのバイアスを植え付けないように気をつけ、ダイバーシティや性教育についても一緒に語ることを心がける。違和感を見過ごして加担し“再生産”するのか、自分の振る舞いを変えて連鎖を断ち切るのか。小さなアクションが未来を変えていくはずです」

若宮和男(わかみや・かずお)
起業家、アート思考キュレーター。2017年、女性主体の事業をつくる「全員複業スタートアップ」としてuni’queを創業。2018年、東洋経済「すごいベンチャー100」選出。著書に『ぐんぐん正解がわからなくなる! アート思考ドリル』(実業之日本社)など。