近年、ジェンダーやダイバーシティへの認識が急速に変わりつつあります。それは、これまで声を上げてきた人の存在があったから。“あの人”たちが、アクションを起こすようになったきっかけとは?

●お話を伺ったのは…
井手上漠さん、森下光泰さん、川村エミコさん、若宮和男さん、小川たまかさん、五十嵐大さん、瀬戸あゆみさん

●情報は、FRaU2021年8月号発売時点のものです。

アンドロジナスファッションで
性別の壁を取り払っていく

「いでがみばくです、性別ないです」

Twitterのプロフィールに書かれた、たった15文字が、井手上漠さんを象徴する言葉だ。戸籍上の性別は男性で、島根県隠岐諸島にある中ノ島で生まれ育った井手上さん。2018年に『ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト』でファイナリストに選ばれ、「かわいすぎる男子高校生」として注目を浴びた。今年3月に高校を卒業して上京すると、本格的に芸能活動を開始。性別の枠を超えたモデルとして、雑誌やファッションショーなどで活躍している。

「幼いころからファッションに興味がありました。母はおしゃれをさせてくれたのですが、親戚で集まるときにドレスアップすると、『男の子なんだからこういう服を着ちゃいけない』とおじいちゃんに叱られることがあり、たとえスカートを履いていなくても、『この服は怒られないだろうか?』と考えるようになりました。そんなときには母が『着たい服を着させてあげて』と、おじいちゃんとケンカしてくれるなどしながら、意思を尊重してくれました」

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そんな原体験もあり、井手上さんが今注目しているのは、ヨーロッパのコレクションなどで見かけることが多くなった“アンドロジナスファッション”。アンドロジナスとは男女両性の特徴をもつことを意味し、レディース服のファッションショーにメンズのアイテムを使うなど、性別を超えた着こなしが提案されている。

「アンドロジナスが浸透していくことは、性差別が減るきっかけのひとつになるのでは。一方で、男性らしい服や、女性らしい服を着たい人を否定したいわけではありません。私が大事にしたいのは認め合うこと。ジェンダーに対する認識は近年変わりつつあるものの、まだまだ過渡期です。ファッションや色について固定観念を植え付けないなど、子どもたちに教えることが重要だと感じます。今の子どもたちにジェンダー平等の考え方が根付けば、少しずつ時代は変わっていくはず。あらゆる生きづらさや偏見が取り払われれば、みんなにとって生きやすい社会になるのではないでしょうか」

井手上漠(いでがみ・ばく)
モデル。2003年生まれ、島根県出身。2018年、『第31回ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト』にてDDセルフプロデュース賞を受賞。“自然体で自分らしく”ある姿に、多くの支持が集まる。今年4月に自身初となる『井手上漠フォトエッセイ normal?』(講談社)を上梓。