「M1 Pro/Max」と「Pixel 6」に共通する戦略とは?

アップルとGoogleが創造する未来
西田 宗千佳 プロフィール

「オンデバイスAI」の活用

1つは、「AI・機械学習処理性能の向上」だ。カメラの画質向上に重要であるだけでなく、最近は、使い勝手の向上にとっても重要な要素になってきた。

【写真】Google Tensorのソフトウエア処理でカメラの画質を支えるPixel 6 Proで強化されたカメラの画質を支えているのも、Google Tensorのソフトウエア処理だ

たとえば、自動翻訳や音声からの自動テキスト化がそれに該当する。Pixel 6は各種メッセージの自動翻訳機能を備え、さらに、録音する音声をテキスト化する「ボイスレコーダー」も搭載している。それらはいずれも、AIの力を使えば以前からできることだ。

だが、ユーザーのプライバシーを守るには、データをクラウドにアップロードして処理するのではなく、スマホの中だけで完結する「オンデバイスAI」の活用が重要になる。Pixel 6は今回、これらの処理をオンデバイスAIでおこなっており、その消費電力低減に、Google Tensorの力が使われている。

【写真】ボイスレコーダーからの自動音声書き起こしも実現オンデバイスAIを用いて、ボイスレコーダーからの自動音声書き起こしも実現した

「Tensor」という名前の由来がそもそも、Googleが開発し、オープンソースのかたちで提供している機械学習開発環境「TensorFlow」にあるのだ。

「厳しい時代」の到来

もう1つの要素が「セキュリティ」だ。

スマホの中のデータを暗号化し、マルウェアの侵入やデータの盗難を防ぐことはきわめて重要である。Googleは、2018年発売の「Pixel 3」から独自のセキュアチップ「Titan」を搭載しているが、Pixel 6では、それを改良した「Titan M2」とGoogle Tensorが協調して動作することで、よりセキュリティを担保するしくみになっているという。

【写真】新プロセッサーによるセキュリティPixel 6はセキュリティの高さを特徴とする。新プロセッサーも、この点で活用しているという

オンデバイスAIやセキュリティに関しては、アップルもまた、同様の要素を自社半導体で進めており、以前の記事(〈ITジャイアントは2021年こう動く!M1搭載Macが変えた未来〉(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/78871)でも解説したように、もはや基本路線といっていい。

それだけ、OSとプロセッサーをより一体のものにし、設計を強固にしていくことが重要なのだろう。スマホやPCの設計・製造は、多数のメーカーの「分業」によって進められる部分が多かったが、ここにきて、コアな部分における内製化が進んでいるのは興味深い事実だ。

ただし、アップルやGoogleと同じことができるのは、世界でもごく限られた大手企業のみだ。競合各社にとっては「厳しい時代」になってきたともいえるだろう。

今後の展開に引き続き注目していきたい。

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