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10月19日 「ホメオスタシス」の提唱者ウォルター・キャノン誕生

サイエンス365days

"サイエンス365days" は、あの科学者が生まれた、あの現象が発見された、など科学に関する歴史的な出来事を紹介するコーナーです。

1871年のこの日、「ホメオスタシス」の概念を提唱したことでも知られる生理学者のウォルター・キャノン(Walter Bradford Cannon, 1871-1945) が誕生しました。

アメリカ・ウィスコンシン州で生まれたキャノンは名門・ハーバード大学を卒業し、その後生理学の創始者とされ、「全か無かの法則」を提唱したことでも知られる生理学者のヘンリー・ボウディッチのもとで研究を続けながら、1906年から42年まで母校の教授を務めあげました。

当初キャノンは消化器系の研究を行なっていました。

特に有名な業績としては生理学研究にX線を導入したことで、ハーバード大教授となる前の1896年にはX線と造影剤を用いて消化器の形態変化を観察していました。

その後も機械的側面からの研究を続け、1912年には空腹時に起こる腹痛が胃壁の攣縮(れんしゅく)によって起こることを発見しています。

そして、キャノンの名をより有名にしたのがキャリア後期に行った神経系の研究です。

キャノンは1923年に消化活動がその人間の情緒と深い関連があると考え、「情緒に関する視床説」を唱えました。これをきっかけに消化器から体全体の系についての研究を行うこととなります。

キャノンはこれらの神経系の研究をまとめた『人体の知恵(The Wisdom of the Body)』という本を著していますが、その中で唱えられたのが「ホメオスタシス」という言葉です。

「ホメオスタシス」は日本語で「恒常性」と訳され、「生物が外的、または内的な環境変化を受けながらも個体やシステムとしての秩序を安定して保つ」という生体の働きを指しています。

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もともとフランスの生理学者クロード・ベルナールが「生体内にある分泌液などの液体は環境が変化してもその性質が一定に保たれるような調整作用がある」ということを提唱していましたが、キャノンはこれをより発展させ、恒温動物の体温調整や生物の取る防衛手段などにもこの考えをあてはめました。

現在、この「ホメオスタシス」という言葉は生物の内的環境についてのみならず、ある生物群の社会的な関係について言及する際など広く用いられています。

そのほか、キャノンは神経疾患に対する薬物治療の道を開いたほか、交感神経の重要性を説くなど生理学に関する業績を多く残しています。

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