年間80万円の「自爆」は当たり前! 農協職員「渉外担当」の嘆き

JAグループの闇 追及第3弾!
JAが職員に、「JA共済」の営業で過大なノルマを課し、他人の掛け金を不当に負わせて黙認する「自爆」。その最大の被害者は、JA共済を専門に営業する「渉外担当」である。その「自爆」の額は、「年間80万円は当たり前。多い人は200万円に及ぶ」。兵庫県のJAで「渉外担当」だった現役の職員は、そう証言する。ノルマ達成を迫られた一部の職員は、他人を本人の許可なくJA共済に加入させ、掛け金を肩代わりするための金融口座を無断で開設するという違法行為にまで手を染めているという。

第1回:農協職員の「自爆」営業が、全国で横行の疑い

第2回:農協(JA)職員が、「自爆」営業している動かしがたい証拠

「ボーナスはないものと思え」

「渉外担当になったら、ボーナスはないものと思え」。「JA兵庫西」(兵庫県姫路市)の現役職員Bさんは、かつて上司が放ったこの一言が忘れられない。

JAグループでは、JA共済連が企画・開発した商品を、全国に562(2021年4月1日時点)ある地域のJAが営業している。「JA兵庫西」で、その営業を専門にしているのは、「ライフアドバイザー(LA)」と「複合渉外」という肩書きの担当者だ。前者はJA共済の販売を、後者はそれに加えて積み立て貯金の集金や、公的年金でJAの口座の利用を勧める信用(金融)業務も請け負っている。

Bさんは、どちらの担当も経験済み。その中で、先の上司の言葉が嘘でないことを知らされることになる。下の一覧表は、「JA兵庫西」のノルマ表である。役職別に明記されているポイントがノルマだ。注目したいのは、LA(表には共済渉外と記されている)と複合渉外のポイントだけが、他と比べて飛び抜けて高いことだ。

「JA兵庫西」のノルマ表。LA(共済渉外)と複合渉外のポイント(ノルマ)だけが、頭抜けて高いことが分かる
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LAになるとノルマが20万ポイントを超えるので、職員が数万ポイントを自爆するのは普通です。たとえば3万ポイントを自爆する場合、30代の人の分を肩代わりするとだいたい80万円。生命保険の場合、加入してもらう人が男性であったり年齢が高かったりすると100万円くらいになることもあります。なかには、6万ポイントとか7万ポイントを自爆する職員もいます。その場合、肩代わりする金額は160万円から200万円に達しますね」(Bさん)

「自爆」とは、達成できないノルマ分について、職員自ら掛け金を負担すること。まずは、自分がJA共済に入る。それだけでは足りないので、家族や親戚、続いて友人や知人にも加入してもらう。その人たちの掛け金を払うのは勧誘した職員自身。これが自爆だ。

Bさんによると、JA職員の給与は地方公務員とほぼ同じ水準だという。たとえば「JA兵庫西」の場合は、本店が姫路市に置かれているので、姫路市役所の給与30万円(平均年齢38歳)と同額ということになる。「JA兵庫西」は、夏と秋の2回に計5ヵ月分の賞与を支給する。つまり150万円。残業代などを別にすれば、年収は510万円。LAや複合渉外になると、多い人ではここから200万円が自爆で消えるのだ。

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