農協(JA)職員が、「自爆」営業している動かしがたい証拠

JAグループの闇 追及第2弾!
窪田 新之助 プロフィール

JA共済だけではない自爆の数々

「実は自爆しているのは、JA共済だけではないんです」。Aさんがそう言って取り出した1枚の紙には、次のように書かれていた。「職員になりましたので、家の光の購読が必須項目になっております」。

「家の光」とは、JAグループの機関誌を扱う一般社団法人・家の光協会のことだ。「JAちばみどり」の職員は入組すると、同協会が販売する月刊誌のうち、家庭向けの「家の光」、農業の担い手やJAの役職員向け「地上」、小学生向けの「ちゃぐりん」の中から年間購読するものを選ばなければならない。翌年以降は購読が自動更新される。

さらにAさんは、ノルマの達成が毎年義務付けられている物品の証拠文書を次々と見せてくれた。その項目と内容を記す。

「JAちばみどり」の個人ごとのノルマ表。JA共済以外のノルマも記されている
▽静岡県産の新茶の販売
主任以上は12万5000円以上、一般職員は10万円以上(いずれも税込)のノルマが課せられる。販売期間は2月1日から3月15日まで。ノルマのほとんどは達成できず、職員が自爆している。

▽JA全農が扱う通年のカタログギフト「旬鮮倶楽部」
カタログの中から各月に届けて欲しい商品を予約するこのカタログギフトについて、職員は1件以上の契約を取ることが義務付けられている。ノルマのほとんどは達成できず、職員が自爆している。

▽株式会社日本農業新聞が発行する日刊紙「日本農業新聞」
JAグループの機関紙である同紙について、新人職員は入組後の研修で同紙の感想文を書くことを課され、そのまま定期購読に持ち込まれる。

▽「赤い羽根共同募金」
自然災害による被災地の復興を支援するため、基本的に全職員が募金をする。集金時に不在にしていたら、「上司から『払っておいたから』と言われたこともあった。払わないということはなかなかできない」。 

「日本農業新聞」の年間購読料は3万1476円。家の光3誌のそれは5664円~8782円。これに新茶の購入代金と募金を含めると計15万円程度になる。Aさんの場合、自分と両親が被保険者となっているJA共済の掛け金を加えると、自爆の総額は年間約65万円に達する。

 

ノルマ未達の職員には「昇給、昇進、賞与に影響」と脅し

職員が、一連のノルマを達成できない場合にはどうなるのか。「上席からは昇給、昇進、賞与に影響すると脅されました」とAさん。組織が職員に過剰なノルマを課したり、それを達成するよう脅したりすることは、改正労働施策総合推進法(通称、パワハラ防止法)や刑法、労働基準法、労働契約法に抵触する恐れがある。詳細は以前の記事で書いているので、読んでもらいたい。

一連の証言や資料について「JAちばみどり」に確かめたところ、組織として自爆を強制していることは否定。ただ、「ノルマの達成を必要に感じて、職員が自ら加入していることは認識している」と回答があり、さらに「事態を把握して、今後改善したい」と記されていた。

最後に一つ追記したい。JA共済のみならず物品の営業にまでノルマを課せられ、自爆に追い込まれているのは「JAちばみどり」だけではない。「JA山梨みらい」(山梨県甲府市)の職員によると、同JAでは「JAちばみどり」以上に多数の物品でノルマがあるという。

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