父まで「ドアをガチャガチャ」の理由は…

流石コロナ禍。
店も早々に閉まる。
数時間後、父にしては早めの帰宅。
ガチャガチャガチャガチャ!と。
鍵を家に忘れて出てしまった様で。
玄関のドアがぶっ壊れるかと思うくらい、力任せに押し引きしている。
古い家に音と振動が響く。

Photo by iStock
-AD-

おまえも同じガチャガチャ野郎じゃねえか……。
こんなやつを一瞬でも電話で頼ったのか。
鍵を開けに行く。
目をトロンとさせたハゲ散らかった爺さんが頭から入って来る。

「ドア壊れたって直すお金ないんだよ。玄関のチャイム鳴らしたらいいじゃん」

「チャイム?って鳴らしたことないよ。どこにあるんだ?」

おめえ、ドアホンの位置もわからず、毎日家のどこを見回っているんだ。

「もう寝なさい。パパのことは気にしなくていいから」と千鳥足で外を見回りに行く。

イライラしながら自室に寝に戻る。
途中、隣の部屋で布団の中から、母が顔だけ覗かせているのが見えた。その横のベッドで姉もモノマネの様に同じ体制をとって聞き耳を立てている。母がこちらに顔を向けた。姉も続く。3人目があう。
母が「な! パパクソが!」と。

「……だね」と私。

「パパクソ~~」と姉が笑う。
女同士。気持ちは一緒か。

ピン~ポーン。
ドアホンを発見したようだ……。

【次回の公開は11月20日予定です】

赤ちゃん時代のにしおかさん。ぬいぐるみに埋もれている写真ですが、家は砂場では決してありませんでした 写真提供/にしおかすみこ
にしおかすみこ連載「ポンコツ一家」今までの記事はこちら