「どこのどいつだ~い?」「あたしだよっ!」「にしおか~すみこだよっ」
ロングヘアをなびかせ、SMの女王様の格好で行う漫談で人気を博し、エンタの神様にも出演していた芸人・にしおかすみこさん。現在46歳で、髪もバッサリショートヘアにカットしたにしおかさんは、認知症の母、ダウン症の姉、酔っ払いの父、そして一発屋の自分という家族を愛を込めて「ポンコツ一家」だと語る。そう語る理由を赤裸々に伝えていく連載(毎月20日更新)。第1回は、にしおかさんが久々に帰った実家で、埃だらけの荒れ果てた家に呆然とした話と、母との大げんかを後悔しながら、実家に暮らし始めたことを前後編にてお伝えした。

SNSには、
「他人事とは思えない」
「すごく似た状況だ……」
「読んでいて胸が詰まりました」
「泣いた」
「軽やかに壮絶。読ませるなあ、ひどい話なのに笑ってしまう」
「にしおかさん、応援します!」

と多くの反響があった。まさに誰にとっても他人事ではない問題なのだ。

連載第2回では、実家に戻り数ヵ月が過ぎた時の話をお伝えする。

他人事とは思えないという言葉が多く寄せられた第1回
にしおかすみこ連載「ポンコツ一家」今までの連載はこちら
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朝9時過ぎ、母がいない…

1年前に実家に戻り、数ヵ月が過ぎた頃の話。

8月、朝9時過ぎ。母がいない。
不安に思いながら、何とはなしに玄関先に出る。

畑の間の一本道に目をやる。
遠くのほうから、、電動自転車に乗った母が帰って来るのが見えた。
ホッとする。えっちらおっちら。あの漕ぎ方は電動のスイッチを入れていない。
汗だくの帰還。

「はぁーしんどい。何? ボサーっと突っ立って。それよりこの自転車、知ってる? 重いの! ちょっとコンビニ行くだけでヒーヒー言っちゃう」と。

「スイッチ入れてないからだよ」
「ありゃまあ! そうか! 行く時に言ってよ」

……行くって言ってよ。
母が握るハンドルを代わり、
自転車を庭先の定位置に戻しながら、
「自転車危ないからやめたって言ってなかった?」と聞いてみる。

「そう、前にね、止まろうと思ってブレーキかけたら、あらららってヨタついてそのまま横倒しで下敷きになったんだから。危ないよねー、あ、じゃあ、ね、ね、ついでにこれ覚えておいて」と手招きしながら、家の裏手にまわる……着いて行く。

人が歩ける程度の細い通路とブロック塀の間に深さ50センチ程の細長い溝があるのだが、そこを指しながら、
「ここの溝ね、ここで昔パパクソ(父)が酔っぱらって落ちて足捻った場所ね。で、ここの苔でジメジメしたところ、冬場凍って、パパクソが酔っぱらって転んで顔の頬っぺたが陥没したとこ。で、こっちの玄関の段差はママが転んで肩脱臼したとこね。そういうことだから」

どういうことだ。
凄いシメかたをする。
老夫婦……何やってんだ。頼むよ……。
家まわりのケガツアーに付き合わされる。

スイッチを入れてない電動自転車はホントに重い… Photo by iStock