「ソーシャルメディア有害論」が、アメリカで盛り上がってきた背景

インスタ利用は「喫煙」と同じ?
池田 純一 プロフィール

少なくともブルメンソール議員らが想定する、タバコ会社のような扱いというのは、心身に有害な商品の管理という観点のものだからだ。『スマホ脳』のような事態である。

 

要するに、ソーシャルメディアは、(第三者が制作した)有害なコンテントを撒き散らすだけではなく、ソーシャルメディアの利用自体が有害なのだ、という捉え方だ。この見方は新たな局面をもたらす。いま、さらっと「ソーシャルメディア」と書いたが、いうまでもなく今回のFacebookの一件は、Facebookだけにとどまるのではなく、ソーシャルメディア全般にまで対象が広がることになる可能性は高い。

アメリカでは、タバコの有害性を巡る訴訟や議会での議論を経て、タバコ企業はFDAの厳しい監視下に置かれることになった。タバコの利用や利用促進のためのコミュニケーションに多大な規制が設けられ、タバコ広告はマスメディアから締め出された。一説には、屋外広告産業が元気付いたのは、マスメディアから締め出されたタバコ産業が多額の広告費とともに流れてきたからだ、と言われていたくらいだ。

そうしたタバコ産業がたどった歴史を、場合によったら、ソーシャルメディア業界も今後、経験していくのかもしれない(タバコ会社のロビーイングの執拗さについては、たとえば映画『サンキュー・スモーキング』あたりが参考になる)。

いずれにせよ、今後のFacebookに対する連邦政府の扱いに対して、新たな要素が加わった。ソーシャルメディアへの依存症という新たな社会問題にどう対処するか、という課題だ。

その意味では、この夏に入り中国で立て続けに公表された、インターネットを経由したゲームへの若者の接触機会の制限なども、同種の社会不安から生じたものと受け止めることもできるだろう。アメリカ連邦議会の懸念に対して、中国政府はいち早く対処した、といえるのかもしれない。

関連記事