今回の衆院選を前に与野党ともにベテラン議員の引退が相次いでいます。各政党が本気で女性議員を増やしたいと思えば、「空いた選挙区」に女性の新人候補を立てればいいと思うのですが、現実は息子などに引き継がせることが少なくありません。「地盤、看板(知名度)、カバン(資金)」を引き継げる世襲候補は、ゼロから支援体制を作らなくていいため圧倒的に有利ですが、それが新たな人材の立候補を阻む要因ともなっています。

そしてたとえ公募などに女性が応じたとしても、誰を党の公認候補とするかは最終的に県連と呼ばれる各党の都道府県ごとの組織や党本部が決定します。意思決定をするのは年配の男性が中心の組織で、最終的に男性の方が選ばれやすいという現実もあります。これも自民党に限らず、野党でも、統一候補を調整する中で、女性候補がないがしろにされているという批判も起きました。

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女性を増やすことは、男性が席を失うこと

今年2月、森喜朗元五輪組織委員会会長のいわゆる「森発言」後、自民党の稲田朋美議員は、党の幹部に対して女性の起用を提言。その中には、自民党の立候補者に女性を30%、将来的には35%、という内容を盛り込みました。しかしそうした提言について、これまでも多くの男性議員から大きな反発があったと、「ビジネスインサイダー・ジャパン」で記事にした私のインタビューに対して答えています。

「私は昨年、比例名簿の上位から女性・男性と交互にと提言したのですが、党内の男性議員からものすごく批判されて、それがきっかけで私から離れていった人もいます。自分の議席を失う人もいて、政治生命に関わることなので反対は根強い」

女性を増やすことは、それだけ男性が「席を失う」ということ。だから抵抗は強烈です。となれば、ある「強制力」を持って、女性に一定数議席や候補者の枠を割り当てるしか女性議員は増えない。それがクオータ制と言われる制度で、2021年6月現在、129の国と地域で導入されています。

防衛大臣までつとめた稲田朋美氏だが、選択的夫婦別姓や女性議員を増やすことを口にしたことで自民党の中でも立場が変わったように見える Photo by Getty Images

日本でも男女の候補者数はできる限り「均等」を目指すという原則を定めた候補者男女均等法が2018年に施行されました。政党に女性候補者の数値目標を設定するよう求めていましたが、これが努力義務に止まっていたことから、超党派の議員連盟が改正を求めてきました。2021年、改正候補者男女均等法が成立、セクハラ・マタハラの防止策は明示されたものの、候補者の数値目標の義務化は果たせませんでした。自民党などに義務化への根強い反対があったと言われています。

各国のクオータ制に詳しい政治学者の三浦まりさんは、ビジネスインサイダージャパンのインタビューで、日本でクオータ制の導入が進まない背景として、保守政党の自民党が長く政権を握り、政権交代が起きにくいことを指摘します。欧州でクオータ制が導入された時は、政権交代によって中道左派政権が誕生した際が多いと。