「票」を盾に政治家が遭う「票ハラスメント」の現実

加えて最近、女性の議員が増えない要因として浮上してきたのが、票ハラスメント(票ハラ)という問題です。つまり、「票」を持っている有権者から政治家がなにがしかのハラスメントを受けるということ。内閣府が2020年12月~2021年1月に地方議員を対象に実施した調査によると、議員活動や選挙活動中に有権者や支援者らから、ハラスメントを受けたと回答した男性は32・5%、女性は57・6%立候補を断念した人ではさらに被害が深刻で、男性は58%、女性は65・5%も立候補準備中に何らかのハラスメントを受けたと答えています。これは地方議員に限ったことでなく、先の関西テレビのアンケートでは衆院の女性議員らも自身のハラスメント体験を答えています。

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キャスターでジャーナリストの長野智子さんは、女性の国会議員を増やすための勉強会を始めています。長野さんの呼びかけに応じて参加したのは自民、公明、立憲民主、日本維新の会、社民、共産、国民民主まで7党の女性議員。長野さんは、とにかくまずは何が課題なのか、解決のためには何が必要なのか、党派を超えて議論できる場が必要だと感じたことから勉強会を立ち上げたのですが、議員からは「そもそもこうした平場で女性議員同士が率直に意見交換できる場すらなかった」と言われたそうです。

何回か議論を進める上で女性議員からは、先の働き方の過酷さや深刻な票ハラなどだけでなく、例えばオンラインによるリモート投票が認められていないことで出産直後の女性議員が欠席扱いとなってしまうという課題も挙げられました。さらに現在の選挙制度、衆議院の小選挙区比例代表という選挙の仕組みも、女性議員が増えない一因になっているという指摘もありました。

与党だけではない「現職優先」の壁

小選挙区では候補者調整がつかなかったり、今回の野党のように共闘して統一候補を立てる場合を除き、各党が擁立する候補者は原則1人。解散前まで、衆院では自民党が圧倒的な議席を占めていました。自民党には「現職優先」というルールがあり、現職の多くは男性議員です。女性が新たに候補者になろうとしても、現職の議員が引退するか、落選した時にしかチャンスがないのです。

「現職優先」の壁は野党にも共通します。今回の衆院選に向けた公約で地方議会の議員を男女同数にするという目標を掲げた立憲民主党も、国政選挙で擁立する候補者に占める女性の割合については「2025年に35%」としました。その理由として、衆院では現職に男性が多いことから、「参院から女性比率を高めるのが実現可能性が高い。来年の参院選に向けて、候補者の半数を女性にするという大きな目標を掲げたい」(枝野幸男代表)とするなど、「現職の壁」を超える難しさを述べています。