薬の効き方は、服用時間で大きな違いがあった!時間薬理学の観点から検証してみる

ともあれ、「飲み忘れ」は最大の問題点
時間によって、食べる、運動する、休む、といった身体活動が体のなかでどのような変化につながるのかを研究する「時間栄養学」。体に取り入れる、という点から食品とともに忘れてならないのが「薬」。実は、この薬も体内の環境に吸収され、効果を及ぼす一連のしくみが、時間に大きく影響されるということをご存知でしたか? 柴田重信さんに薬と時間との関係"時間薬理学"について解説してもらいました。

薬の効果を発揮させる時間があった

薬理学とは、薬の効くしくみを明らかにする学問であり、薬の開発や薬の臨床使用で役立つ学問でもあります。そもそも機能性表示食品成分は化学物質であり、医薬品も化学物質であり、生体との相互作用という視点では、食品成分も薬物も連続して取り扱う必要があるでしょう。

もちろん薬物は薬機法という法律で決められ、食品成分はトクホ(特定保健用食品)や機能性表示食品としての取り決めがあります。薬の処方では、ほとんどの医薬品の摂取時刻が決められ、1日1回の朝処方や、1日3回の朝・昼・夕の分割処方などがあります。

血圧が高いといっても、早朝に高血圧になるタイプや、一般的に血圧が低下する夜間の時間帯でも高血圧が続くタイプなど、いろいろとバリエーションがあります。そうなると、早朝高血圧の人は朝服用しても間に合わないかもしれないし、夜間に高血圧の人が朝に降圧剤を飲んでも効果が弱いかもしれません。

そこで、時間によって、食べる、運動する、休む、といった身体活動が体のなかでどのような変化につながるのかを研究するのが時間栄養学ですが、その時間栄養学にも通じる「時間薬理学」について考えてみたいと思います。

2つの視点から考える

薬理学という学問は、薬物動態学と薬力学から成り立っているので、まずはそれぞれの視点で解説したいと思います。大雑把に違いを説明すると、薬物動態学は生体に投与した薬物が体内の環境でどのように動いていくのか、またその解析方法を研究する学問で、薬力学は実際に薬が効いているしくみ(薬理作用)を研究する学問です。

【図】時間薬理学の考え方時間薬理学の考え方。薬物動態学の視点と、薬力学の視点のいずれも体内時計の関与が知られ ている

薬は体内の環境でどう動いていくかまずは薬物動態学の視点からです。薬物動態(ADME)は薬の運命といわれるもので、図1にも示したように、生体に投与された薬物が、吸収(absorption)されて、血液中に入り、生体内に分布(distribution)し、肝臓などで代謝(metabolism)され、尿中などに排泄(excretion)されるという過程です。

一般的な内服薬について考えてみましょう。口から入った薬は胃を通過し、小腸で吸収され、門脈を通して肝臓に運ばれて代謝され、代謝物や代謝を免れた薬物は全身の血液中に分布します。血液中ではアルブミンというタンパク質と結合し、結合を免れた部分のみが標的臓器をはじめ全身の臓器に行きわたり、薬の効果を発揮します。それと同時に、アルブミンと結合していない薬物は、肝臓で代謝され、腎臓から排泄されます。

関連記事