公立小学校に籍を置いて

ちなみに、新田サドベリースクールも森のわらべ大地組スクールも、文部科学省が認める学校ではないので、形式上、公立小学校に籍を置くことになります。文部科学省認可ではないインターナショナルスクールに通うのと似たようなしくみです。

滋賀県で「せた♪森のようちえん」を運営する西澤彩木さんは、「大津市北部に、区域外からも通える大津市立葛川小中学校という非常にユニークな小規模特認校があります。うちの卒園生たちとの相性がとってもいいんです」と教えてくれました。大津市の複数の森のようちえんから葛川小中学校に進学するルートができそうだとのこと。

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森のようちえんから、小学校へ、中学校へと、下から上への教育改革が、じわりじわりと進んでいるのを感じます。まるで大地にしっかりと根を張った森のようちえんが、上へ上へと枝葉を伸ばしていくようです。

いま、文部科学省は「幼児教育スタートアッププラン」という構想を練っています。幼児期の教育と、小学校から実施される義務教育を円滑につないでいくために、ことばの力、情報を活用する力、探究心といった生活・学習基盤をすべての5歳児に保障するとのこと。しかし下手をすると小学校教育の前倒しになることを、多くの森のようちえん関係者が懸念していました。

質の高い幼児教育の機会をすべての子どもたちが利用できるようにすることは、社会として絶対的に必要です。一方で、幼児教育と義務教育の接続という意味でいうならば、画一的・管理的になりがちな小学校の教育のあり方にも、見直すべき点が多いのではないでしょうか。その際に、むしろ森のようちえんのような幼児教育の現場から学ぶこともたくさんあるような気がします。
 

ルポ森のようちえん
教育ジャーナリストのおおたとしまささんが「森のようちえん」の現場を取材。ヨーロッパの「森の幼稚園」との違い、モンテッソーリやシュタイナーとの共通点、非認知能力を引き出す自然のマジック、幼児教育・保育無償化制度の罪、都市部でもできる「森のようちえん」……様々な視点から新しいムーブメントを取材・検証し、魅力と課題を明らかにしている。集英社新書