森のようちえんでの学びを小学校以降も生かすには?

さてここで、前述の「新田サドベリースクール」について少し説明しておきましょう。新田サドベリースクール誕生の物語は『屋根の上に吹く風は』という題名で映画化もされています。
 
サドベリースクールとは、アメリカのマサチューセッツ州にある「サドベリー・バレー・スクール」という学校の理念に共感し、その教育理念に準じた教育を行う学校のことを指します。
 
サドベリー・バレー・スクールをひと言でいえば、究極的に自由な学校。カリキュラム、ありません。時間割、ありません。学年、クラス、ありません。そもそも先生だとか授業だとかいう概念すらない。いつどこで何をするのかは子どもたちが決めます。何かを学びたくなったとき、それを知っているひとにお願いして、約束して、そこでようやく授業が始まります。
 
これなら森のようちえんとの小1ギャップの心配もありません。が、察しの早いひとは気づきますよね。「中学校大丈夫なの?」と。

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「森のようちえん」から進学校に進んだ子も

西村さんには2人の子どもがいます。お兄ちゃんは、新田サドベリースクールに通いながら塾ナシで中学受験に挑み、自由な校風で知られる青翔開智という私立中高一貫校に見事合格しました(しくみとしては22歳まで新田サドベリースクールに在籍可能)。

入学当初こそ成績はビリっけつでしたが、「授業が面白い!」と言っているうちにみるみる成績は向上。中学3年生の現在では学年順位一桁に入る優等生になりました。ちなみにお兄ちゃんのまるたんぼう同期7人のうち4人が同じ中高一貫校で同級生になったそうです。

「自分で勉強する大変さをサドベリーで経験しているからこそ、授業が面白いと感じられるのかなと思います」と西村さん。下のお嬢ちゃんも現在新田サドベリースクールで学んでおり、こちらは塾にも通いながら中学受験に挑戦する予定です。

撮影/おおたとしまさ

中学受験との関連でいうならば、本連載第1回で登場した「森の風こども園」の嘉成頼子さんも「うちの卒園生から4人も、名古屋の東海中学に進学しています」と言っていました。東海中学校・高等学校は、東大・京大・国公立大学医学部合計合格者数で、全国でも三本の指に入る超進学校です。
 
森のようちえんに通っていたからというわけではないでしょうが、少なくとも森のようちえんに通ったからといっていわゆる〝お勉強〟の分野で不利になることはなさそうです。
 
岐阜県で「森のわらべ多治見園」という森のようちえんを運営する浅井智子さんは、せっかく森のようちえんで育っても、普通の小学校に行くとその子らしさが曇っていくことを残念に思い、やはり自ら付属小学校「森のわらべ大地組スクール」をつくってしまいました。

「幼児期よりも知性が高まるぶん、その子らしい個性がますます輝いて、その子らしさの純度が増すように見えます。幼児期だけでやめてしまうのはもったいなさすぎます!」と浅井さん。