「大人のための行為」に変えないために

途中でやまちゃんが「イチゴがあるぞ!」と、この日いちばんの大きな声を出しました。山イチゴがたわわに実っていました。

みんな駆け寄って競うようにほおばります。そのときの子どもたちの表情はお猿さんそのものです。うれしそうな顔とかではなくて、夢中すぎて無表情になるんです。子どもってやっぱり原始人なんだなあと感心していると、スタッフのたこちゃんも、子どもたちとまったく同じ顔をして食べていました。

撮影/おおたとしまさ
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でもなかにはリュックからお椀を取り出して、そこにイチゴを収穫し、うまくとれないお友達に分けてあげる子がいます。かなり文明人です。
 
私はそこで油断して、見学者としてのミスを犯しました。思わず「すごい。お椀を使うんだ」と独り言を言ってしまったのです。それを聞いた子どもの目が光ります。するとまわりの子どもたちもお椀を取り出しました。隣にいたやまちゃんが教えてくれました。

「『すごい』って、つい言っちゃうんですけど、そうすると、それまで自分のためにやっていたことが、大人のためにやる行為に変わっちゃうんですよねぇ」
 
おっしゃるとおり。ごめんなさい。